2012年5月31日 (木)

ルネサスの経営危機報道を見て。

 毎度毎度不景気な話なんだけど、古巣のルネサスエレクトロニクスの経営危機報道を見て色々と思った。
http://www.nikkei.com/markets/kigyo/editors.aspx?g=DGXNMSGD28041_28052012000000
 一つは経営実行の遅さというのは、一番の致命傷だなということ。よく経営陣がアホだとか言われるんだけど、ルネサスの経営陣はみな頭は人並み以上のはずで、何年も前からとるべき道は分かっていたはずなんだよね。今ルネサスが打ち出している「マイコン集中」というのは、7年も前に現場レベルでもそうすべきだと普通に議論していたことだし、5万人で一兆円の売り上げなんて、どう考えても生産性が悪すぎるなんて、合併前から分かっていたことだし。しかも、部長クラスが5千人もいるという高コスト体質。でも、具体的に動き出したのは、ビジネスが立ち行かないのが数字として見えてから。それじゃ遅すぎるって。しかも、事業選択も中途半端で緩慢。5年前に正しかった選択は、今は正しくないんだよ。ゆっくりやっているうちに競合がキャッチアップして、強みだったはずのものまで、強みじゃなくなっちゃうよ。
 二つ目は、親会社。今回の増資要請を「前回のが手切れ金だった」とか言って難色を示しているらしいんだけど、そもそも増資を「手切れ金」と表現すること自体が、ゆるさというか、電機の構造的問題を表していると思う。だって、増資って、贈与じゃなくて、投資でしょ?何千億円も投資するなら、普通の投資家なら、将来の成長計画を厳しくチェックして、取締役を派遣し、コスト構造を徹底的に見直してROEが確実に見込めるように鉈を振るうでしょ。まして、10年間一貫して株価が下がっている企業なんだから。経営計画は投資先のいうがまま、高値で株価を買い取るという外資ファンドの申し出も拒否で、結局株主価値を毀損し続けてお互い損しているという、このぬるい関係は、そろそろ止めるべきでしょ。
 そもそも、電機はジャパンディスプレイだ、日本半導体連合だと、すぐ不思議な連合体構想が出てくるし、「税金投入で支援すべきだ」みたいな話になっちゃうけど、単に国に甘えさせているだけだと思う。技術流出が問題だというけど、それって技術への投資に見合ったリターンがないというだけで、「日本発の技術がどうの」というナショナリスティックな議論はナンセンスだと思う。国は、あくまで「環境を整備する」ほうに注力すべきで、あんまり表に出てこないほうがいいと思うよ。
 そして、これは単なる感慨なんだけど、昔いた職場の閉塞感はいかがばかりかと思う。僕がいた時期も「将来ないわー」みたいな話は多かったんだけど、その後、技術開発中止で存在意義がなくなる→会社自体が危機、だもんなぁ。エリートエンジニアを自負している分だけ、モチベーションダウンは大きいだろうね。どうしてるかなー。
 そんな中で、前職出身のエンジニアの方(被っていないから面識はないけど)が立ち上げたベンチャーがインテルから出資を受けたというニュースは元気が出る話だと思う。
http://news.mynavi.jp/news/2012/05/29/108/
大きく成功するかどうかはまだ分からないけど、企業のブランドや国の支援を当てにせず、自分の考えで自分で人生を切り開くほうが、やっぱり本来の姿だよね。
 そういう志を持っているし、面白いアイデアはあるけど、ビジネスとかマネージメントはよくわからんわーというエンジニアと組んで、いつか面白いモノを世の中に出したいなーと思いつつ、日々中国のお客さんと向き合っております。

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2010年2月26日 (金)

日本における半導体製造業の展望

日経エレの電子サイト「Tech on!」で、興味深い記事を見つけました。

提言:日本に専業Siファウンドリを

  • 第1回:日本の半導体メーカーの特徴 
  • 第2回:日本の大手半導体メーカーへの提言 
  • 第3回:日本の中堅半導体メーカーへの提言 
  • 最終回:日本の小規模半導体メーカーへの提言 
  • これは、ドイツのシリコンファウンダリに勤めている日本人の方が書いたコラムで、非常に面白い分析が載っていました。

    例えば、この図を見ると、実は日本は世界で最も大きなウェハ製造能力を抱えていることが分かります。ファウンダリ王国の台湾より上というところが意外でもあるのですが、内訳を見てみると、実態としては150mm以下の小さな口径のウェハの製造能力の割合が大きいことが分かります。また、1工場あたりの生産能力は、台湾や韓国よりずっと小さいのです。つまり、全体での生産能力は大きく見えても、古くて低い生産能力の工場を多数抱える、非効率な状態になっているというわけです。

     大手のIDMでは、300mmウェハの最先端工場は大きな生産能力を持つものの、損益分岐点はびっくりするほど高いままです。この点は何年も前から指摘され、関係者もプロセスコスト低減に一生懸命努力しているように見えるのに、一向に改善しないのはなぜなんだろうと疑問に思っていましたが、次の内容を読んで、とても腑に落ちました。

     a)最適な生産量と製品を最適なラインで生産するのは,難しい“パズル”を解くようになるケースがある。これは,同じ線幅に対応できるラインが複数存在し,お互いの工場間でもラインを奪うための駆け引きがあることによる。

    (b)抱える製品の競合も大手半導体メーカーや大手ファブレスとなり,最先端工場で製造することが,製品の競争力を維持するための必要条件となる。自社でその製造をまかなう戦略の場合,継続的な投資が必要になる。

    (c)200mm品の生産は300mmラインへの移植が可能だが,300mmラインを埋めるには不十分な場合がある。

    (d)古いラインの製品群を大口径工場へ移植する場合,時に経済合理性に合わないことがある。

    (e)製品供給責任などの問題から,古いラインを閉めることができない場合がある。その場合,すべての工場の稼働率が低く,固定費負担が重くなるという問題に直面する。

    (f)製品競争力の維持のためには,製品の進化(設計)と工場の微細化への投資の両方が常に要求される。

     なるほど・・・これだけ明快にIDMのビジネスモデルの弱点を指摘している論説を始めて見ました。自社で多数のラインナップの製品を製造していると、一方で最先端プロセスへの継続投資が要求され、一方で供給責任から古いラインを閉めることが出来なくなり、非効率な構造のまま運営せざるを得ない状況になってしまうと。ファウンダリなら、様々な会社の製品を流すことで工場の稼働率を高く維持できるが、自社製品だけだと、大きな生産能力の工場は逆に余剰能力に悩まされてしまうというわけか・・。

     実際、工場のラインを埋めるために赤字覚悟で製品を生産するということがありました。

     IDMの舵取りは、なんだか複雑なパズルを解くような感じですね。道理でなかなか業績が上がらないわけだ・・・

     筆者は大手IDMはファブライトモデルに移行することを推奨しています。現状、ルネサスエレクトロニクスはファブライトを標榜しているし、富士通はTSMCと提携を発表しているし、どの大手メーカーも大体ファブライトの方向に進んでいます。

    しかし、筆者は次のようにも指摘しています。

    (ア)実行に時間をかけること。せっかく工場をスリム化し,製品と製造の最適化,将来への真のファブライトへと戦略を決めたとしても,その実行に時間がかかると効果は半減するどころかマイナスになる恐れさえある。

     経営判断が遅いことで定評のある日本の半導体メーカーがどれだけ迅速な戦略実行が出来るかがポイントでしょうか。

     第3、第4回の中堅、小規模メーカーへの提言も興味深いです。

     一方、ファウンダリ業界のガリバー、TSMCは2010年の設備投資額を48億米ドルにするとぶちあげています。

    http://techon.nikkeibp.co.jp/article/COLUMN/20100224/180590/?ST=silicon

    日本のメーカーが不況にあえだのを尻目に、2009年通期で30%もの営業利益率を確保しています。また、損益分岐の稼働率は40%と日本メーカーと比べ物にならないほど低いです。恐るべしTSMC。

    記事には次のように書かれています。

    TSMCのLSI業界における地位はさらに盤石になっている。高収益性だけではなく,貸借対照表(株主資本比率83.9%、ROE18.4%)やキャッシュ・フロー(2009年時点のフリー・キャッシュ・フローが19億3000万米ドル)の点でもLSI業界屈指である。これに今回の設備投資増額が加わることで,ウエハー処理能力ベースの市場シェアやコスト競争力は,さらに高まる可能性が大きい。その結果,低収益にあえいでいたり企業規模が十分でなかったりするために大きな設備投資を実施できないIDM(integrated device manufacturer:垂直統合型LSIメーカー)は,Siファウンドリーへの依存を高めざるを得ない状況になる公算が高い。日本の半導体製造装置・部材メーカーからの観点では,同社に食い込むことの重要性がより一層増していることを示唆している。

    こりゃもー、すでに勝負はついていますかな・・・

     

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    2009年9月25日 (金)

    ビデオカメラ1万円時代

    日経ビジネスを読んでたら、こんな記事が出てました。

    ビデオカメラが「1万円」国内外で価格破壊、ネット対応製品も存在感

    エグゼモードという会社が出した1万円のビデオカメラが話題を呼んでいるようです。

    また、おなじ号に、富士フィルムが途上国向けに出した低価格デジカメが人気を呼んでいるという記事も載っていました。

    ウェブに簡単にアップロードできる低価格デジカメflipvideoを開発した会社がciscoに566億円で買収されたのも記憶に新しい。

    これらは、汎用部品が低価格で入手できるようになったことと、台湾などでEMSが発達して、手軽に低価格の電子製品が作れるようになったことが大きいのです。

    ここで大きなポイントとなるのは、ハードウェアの性能は大して求められていないことです。むしろ、そこそこのハードウェアでいいから、消費者に新しい体験をさせるアイデア、つまりソフトウェアの力のほうが大きなポイントとなるということになります。

    i-Phoneのカメラも性能は決してよくありません。しかし、多彩なアプリケーションが魅力を増大させています。web界隈で話題のセカイカメラもそのうちの一つです。

    ちょっと前に渡辺千賀さんの講演を聴きにいきましたが、シリコンバレーでも熱いのは上記のようなwebガジェットだそうです。ハードはそこそこで低価格に抑え、その分ソフトウェアのアイデアで付加価値をつける。そういうベンチャーが今盛り上がっているそうです。今時、半導体ベンチャーは、試作費用がバカ高くついて、ベンチャーキャピタルでは手に負えないそうです。

    これから伸びるといわれるBRICS市場を狙っている日本の半導体メーカーには厳しい時代です。日本の得意とする高付加価値、高機能の半導体はボリュームゾーン、もしくはこれから伸びるゾーンからは必要ない時代ということなのです。性能を追求するより、安いデバイスをタイムリーに出すことが重要で、こういうのはどちらかというと台湾や中国のメーカーのほうが得意です。

    高い技術を持っている日本の大手半導体メーカーにとって、ロースペックのLSIを供給するのは簡単そうに見えますが、高性能志向を追う技術者の思考を変えるのは簡単ではない。それより、なにより、ここで意味しているのは手抜きのLSIでいいということではなく、マーケティング優先の製品作りが重要ということです。低価格、ロースペックのLSIを追いすぎて技術競争力を失うことになれば、即台湾との泥沼価格競争になってしまうところが難しいところです。

    売れ筋商品をタイムリーに出しつつも、独自の技術開発は怠らずに行っていかなくてはならないという時代になりました。

    いっそ、マーケティング用にwebガジェットの会社を半導体メーカーも持ってみてはどうでしょうか。今時の半導体メーカーは社内に組み込み技術者やセットの技術者も抱えていますし、EMSの発達で初期投資も大してかからず高機能の電子製品を作れます。リソースは揃っているといえます。買収でも、社内の意欲的なエンジニアの抜擢でもいいので、webガジェットの会社を作ってみてはいかがですか?もしかすると古川電工から富士電機、富士電機から富士通が出来たように、親会社を凌駕する成長を見せるかもしれませんよ。

    技術開発にしても、今までの微細化一辺倒より、TIのDLPのように独自デバイス開発に振り向ければ、レッドオーシャンの戦いにならずにすむし、なにより技術者の夢と希望をかなえることが出来るかもしれません。

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    2009年4月30日 (木)

    日本の半導体産業の行方

    NECエレクトロニクスが、ルネサスという会社と合併協議開始したそうですね。
    日本のシステムLSI業界は、NEC+日立+三菱、富士通、東芝、そのほか(ロームなど)と大きく分けられることになりました。

    富士通の半導体部門は力が弱くて金融危機前からやばいと言われていたし、東芝のロジック部門も売りがない上ソニーから買った工場の負担があり、どっちも単独でやっていくのは難しいんじゃないでしょうか。

    そして、NEC+ルネサス。正直、合併しても先行きは暗い。事業を強化するための合併というより、ライバルを一個減らしたという意味しかないように思えます。両社合わせて赤字は2600億円。従業員5万人。工場は分散しているし、製品も被りまくっているので、短期間でものすごいリストラをしないといけないでしょう。社内文化の融合にも時間がかかります。会社が立ち上がるまで市場が待ってくれるか。
    しかも日立、三菱、NECの持ち株法適用関連会社になるそうです。親会社がなんと3つ。3つの親会社のご意向を伺いながらの経営は、大概身動きとれなくなるので、もう最悪ですね。エルピーダという同じ3社合弁の半導体メモリの会社は、同様の問題で沈み続け、一時会社清算の直前まで行きました。こういう会社は内部昇格では舵取りは難しいので、是非やり手のプロ経営者を外部から呼んで欲しいものです。

    ローム、パナソニックなどはここまでの落ち込みではないですが、ロームもかつてほどの成長率じゃないうえに、OKI半導体の買収などが重なって楽ではないと思います。パナソニックはいつまで自社でデバイス開発をやるんでしょうかね?

    半導体装置メーカーは更に厳しいようで、300mウエハ搬送装置世界最大手のASYSTが会社更生法を申請したようです。

    TSMCやインテルなど、海外の半導体大手も厳しいのは厳しいのですが、必要な部分への投資は続け、着々と不況後への手を打っているような気がします。

    もう日本の半導体メーカーは、ちまちまと合併や売却などを繰り返すのではなく、経産省主導で一度主要大手は全部解体し、1つのファウンダリと数個のファブレスに再編成するのが一番だと思います。日本の会社はIDMを標榜して垂直統合の優位性を強調していても、実態としてはファウンダリ事業とファブレスでもやっていける事業に分けられちゃうと思ってます。マイコンなんて別にファブレスでやったっていいと思うんですよね・・。とにかく工場は世界で戦える規模になって初めて展望が描けるでしょう。個別事業も工場を埋めるために赤字受注のようなことはせず、マーケティングと商品開発に力を集中することが世界で生き延びる道じゃないでしょうか。

    ちなみに、外資メーカーの日本法人のリストラはすごいようで、失業した技術者が人材市場にあふれているようです。てか、成長市場はすでに中国やアジアに移っており、日本にデザインセンターを持つ意義はだんだん少なくなってきているんじゃないでしょうかね。日本の技術者の質を買ってもらえているうちはいいですが・・。

    んー、半導体業界は、どんどん厳しくなってきてますね・・。しかし不況で逃げ場もないので、このGWは勉強します。

    ・・学生時代に内定を断った会社が好調で(平均年収が1300万円)、一瞬過去を後悔しかけましたが、負け犬っぽいのでそれは止めます。

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    2008年9月18日 (木)

    他社との提携を模索する富士通マイクロエレ

    富士通マイクロが複数社と提携で協議を開始(ロイター)

    富士通マイクロエレクトロニクスの岡田晴基社長は10日、ロイターとのインタビューで、国内外の複数の半導体メーカーと提携に向けた協議を開始したことを明らかにした。岡田社長は想定する提携内容について「開発、生産、事業統合までいろいろな選択肢がある」と述べた。来年3月をめどに合意を目指す意向だとしている。

     富士通の半導体事業は、本社と一体となってやる!とずっと言い続けていたのが、結局NECエレから5年遅れての分社化、そして社長の突然の退任とかなり混乱しておりました。しかも、ライバルに比べて事業規模が小さい。結構厳しいポジションで、他の会社との提携もしくは事業統合は避けられないと思われておりました。

     現在は日本勢としては大まかに東芝-NECエレクトロニクス-IBM連合、ルネサス-松下、ロームなど独立系という形になっております。このうち、NECエレは、昔からのライバル意識があるので、提携は難しいように思われ。東芝と組めば、NECとの関係を見直す可能性があります。ルネサスとはうーん、どうでしょうかねえ・・。

     富士通は半導体事業規模は小さいですが、スパコン用チップなど最先端技術には定評があります。バックに富士通本体という顧客も抱えているわけで、ここがどことくっつくかで日本の半導体業界再編はかなり変わってきそうですね。

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    半導体業界の利益率は落ち続けている

     リーマンブラザーズや、AIGなど、今までブイブイ言わせていた金融業界が軒並みまずいことになって、世間を騒がせていますが、だからといって半導体業界はそれに比べればましかというと、そういうわけでもないようで・・・

    iSuppli: Chip biz has lost 'money-making touch'(EE times)

    アイサプライによると、半導体業界は、かつてはエレクトロニクス業界の中で相応の利益率をあげていたのですが、ここ数年はじわじわと落ちてきているそう。2004年は17-18%あったものが、2008年は一ケタ台の利益率しかないそうです。

    アイサプライのCEOのLidowによると、業界は強者と弱者の二極化がますます進むそうで、他人のシェアの奪い合いで生き残れる時代じゃないそうです。会社が生き残るためにはますます戦略が重要になるというわけです。

    しかし、僕が就職した2001年前後から、半導体業界はどんどん厳しい方向に向かっていく一方ですね。今まで日系メーカーは調子は悪くても業界全体としては好況という時期はあったのですが、ついに業界全体として踊り場というか低成長の時代が来てしまったということですね。

    この中で、果たして日系メーカーは生き残れるんでしょうか。

    まー、会社がどうこういうより、自分個人が業界で生き残れるよう、力をつけていかなければなりませんね。半導体技術者が生き残るためには、要求されるモノを作れる技術力もベースとして当然大事ですが、こういう時代には、どのような技術がこれから必要か、それをどう構築してどう事業として実現していくか、などシステムの構築能力や、人を引っ張って組織力で実現していくためのリーダーシップ、コミュニケーション能力がますます重要になっていくと思います。もちろん、個別技術に秀でた職人的なスペシャリストも必要ですが、要求されたことを実現するだけの能力では、どんどん待遇面で厳しくなっていく時代かなーと思います。

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    2008年8月 1日 (金)

    上半期の半導体メーカーの業績

    各社2008年第2四半期の決算状況が出揃ってきたようです。

    【決算】東芝,半導体で302億円の赤字もNANDの増産計画に「変更なし」(日経tech on)

    フラッシュメモリの価格下落と、ゲーム用システムLSIの不振、ソニーから買い取った長崎工場の費用負担で、半導体部門が大幅赤字となったようです。

    東芝は、メモリ事業を経営の柱とした以上、こういった利益の大きな変動はいわば宿命で、不振時をどう乗り切って好況時の利益拡大につなげるかがポイントですね。「不況時の積極投資」のセオリー通り、NANDフラッシュの増産は続行するようです。ただ、昨日のセオリーが今日は通じないのが半導体の世界ですからね・・。どこまでマーケットを読んでの投資判断かがキーポイントですね。

    ルネサスの08年第1四半期、会計基準変更などで営業赤字(asahi.com)

    携帯向けシステムLSI、マイコンなどが伸び悩んでいるようですね。また、会計基準変更が、営業赤字に影響しているそうです。

    海外はどうかというと、

    【決算】半導体大手UMCのQ2決算,ウエーハ需要回復するも大幅減益(日経tech on)

    売上は増加したようですが、利益は前年同時期に比べて、半分近くに落ち込んだようです。

    業界が全体的に不調な中で、ちょっと際立ったのが、NECエレ。

    【決算】NECエレ,通信機器向けが不調も4期連続の営業黒字を達成(日経tech on)

    売上が落ちたものの、研究開発費や販売費などの費用削減で営業黒字達成だそうです。

    赤字が長らく続いていたので、4期連続の黒字達成は喜ばしいですが、リストラ効果ですから、まだ本調子ではないといえますね。特に、研究開発費の削減は、蛸が自分の足を食っているようなものでは・・と気になります。

    第3四半期は、どの会社も市況が非常に厳しいと口をそろえています。はあ・・・・今年はオリンピックイヤーだというのに、なんとも景気の悪い話ですねー。

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    2007年9月17日 (月)

    ソニーの半導体売却について

    久しぶりに記事を書きます。どーも忙しくなるとさぼりがちになって・・。

    半導体の先端デバイス開発を止めたソニーですが、今度は工場売却を決めたようですね。
    マスコミでは、すべて内製する垂直統合モデルから、水平分業モデルへの転換の象徴のように言われてますが、ライバルの松下はデバイスから自分達で作る垂直統合で業績が上向いているんですよね。それをおいかけたソニーはなんだかうまくいかなかったと。なんででしょう。

    水平分業モデルの象徴みたいな形で、インテルがよく引用されます。インテルは、MPUに特化してパソコンは他の会社に任せ、協力してPC市場を広げることにより大きな成長を遂げたと。ソニーも、上から下までなんでもつくらず、得意なところに特化するのがいいんじゃない?と。でも、久多良木さんはCELLプロセッサを作ることによって、ソニーをインテルみたいな会社にしたかったんだよね。CELLプロセッサをあらゆる家電に埋め込んで、それをネットワーク化し、膨大な計算容量を実現することで、広大なバーチャル空間を生み出し、人類の歴史を塗り替える。そんなビジョンがCELLにこめられていたはず。そのシナリオに乗れば、CELLは広く大量に外販することになるので、自社生産が有利になる、とのストーリーだったのだと思います。一般に半導体生産は、数量が多いほど一個あたりのコストは下がっていくのです。
    しかし、とっかかりのPS3が予想ほど売れなかったことで、すべてが崩れたのでしょう。数量がさばけなければ、原価は下がらないし、PS3以外の家電製品にはハイスペックすぎるCELLプロセッサを乗せられるようなニーズも現状では出てこない。インテルアーキテクチャを超えるCPUを作ろうという野心的な試みは、ハイスペック(とハイコスト)ゆえに、使い道がないという皮肉な結果になってしまいました・・・。
    そして、久多良木さんは責任をとらされてソニーを首になり、CELLプロセッサは単なるゲーム機の画像処理用プロセッサという位置づけに押し込められて、ソニー戦略の中軸からは外される。
    ていう文脈でしょう。

    ソニーの社風と規模だからこそできた壮大な実験ですね。2千億以上の投資をしてますからねー。CELLのプロジェクトが進行中は、ソニーの技術者は「CELLがこけたらソニー潰れるから」と嘯いてました。
    うーん、諸行無常・・・・・・

    おれが思うに、ソニーは久多良木さんの技術信仰ゆえに、アプリケーションよりビジョンと技術に走りすぎちゃったのが根本的な失敗だったと思います。インテルのプロセッサだって、小型電卓を出したいというニーズから出発してますからね。久多良木さんは稀有壮大なビジョンは語ってましたが、PS3以外に具体的にどういう形でCELLを使用した製品を出していくのか、さっぱり分かりませんでした。こんな用途があいまいなデバイスにあんな巨大な投資をして大丈夫なのか?とかなり懸念してたんですがね。
    松下の場合は、自社の製品の半導体のプラットフォームをある程度共通化したい、というニーズがあったので、自社生産の意味もあるのでしょう。

    経営者はビジョナリーであることが大切ですが、足元もちゃんと見ることも同じくらい大切ですね。

    ただし、CELLプロセッサは技術的にはものすごいデバイスだと思うので、時代がついてくれば、ニーズが出てきて息を吹き返す可能性もなくはないと思います。それに、スクラッチから新型プロセッサを作る機会なんてそうはないんで、技術者の教育という観点ではものすごく貴重な機会だったんじゃないでしょうか。そういいう意味で、無意味なプロジェクトではなかったとは思います。

    それと、垂直統合モデルと水平分業モデルの話ですが、あんまり二元論で語るのは意味がない気がします。そのデバイスを自社で作ることが競争優位になるのなら作ればいいし、外と協力したほうが競争優位になるのなら、そうしたほうがいい。ケースバイケースです。ただ、ロジック半導体プロセスに関しては、技術的な差異をつけるのが難しい上、微細化にともなって生産のための投資が大きくなり、そうとうの数量を見込める製品がなければ、ペイしません。数量が見込めないなら、生産専門の外部会社(ファウンダリ)に任せたほうが、ビジネス的には有利な判断になる可能性があります。

    そんなこんなで先端ロジック半導体の自社生産を止めたソニーの決断は正しいとは思います。ただ、担当技術者は、東芝との合弁会社へ出向扱いになるようですが、戻り先はないので事実上のリストラでしょうね・・。
    弊社からも給料とブランド名に惹かれて多数の技術者がソニー様へ転職したのですが、まさか2,3年でこんなことになるとは、彼らの運命も多難ですなー。
    あーあ。

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    2007年2月12日 (月)

    TIが32nm以降のプロセスの自社開発中止

    TI,32nm以降のロジックLSIは自社開発せずファウンドリに委託

    Intel、samsungと並んで設計から生産まで自社で行う垂直統合型の代表格であるテキサスインスツルメンツ(TI)が32nm世代以降の自社開発をやめてしまうという、関係者にとっては衝撃的な記事です。

    TIが45nm世代でプロセス技術の自社開発を終了するのは,DSP(digital signal processor)など主力のデジタル製品向けロジックLSIである。32nm以降の開発は,TSMC,台湾United Microelectronics Corp.(UMC),中国Semiconductor Manufacturing International Corp.(SMIC)を含む提携ファウンドリに委託する。なお,アナログ製品向けLSIの自社開発は引き続き継続する。今回の決定の理由について同社は,「ファウンドリ各社のプロセス開発能力がわれわれと同等の水準に高まったことで,委託という形で開発を一本化したほうが効率が高まると判断した」(日本テキサス・インスツルメンツ)としている。

     日本の大手メーカーは垂直統合型モデルが多いのですが、その根拠はプロセスが微細化してくると設計とプロセス技術を一体にして開発しないとうまく立ち上がらない点で、ファウンダリより垂直統合型が有利ということでした。ただ、先端プロセス開発はコストが飛躍的に増大するため、各社の利益圧迫要因になってます。TIは、ファウンダリの先端プロセス開発能力を垂直統合の自社の能力と同等以上と認めたということですね。プロセスの研究開発能力に定評のあるTIの決断だけに、注目されます。

    製造関係の技術者は、アナログ向けプロセス開発などに振り向けるようです。

    ただ、最近TIに転職したばかりのデバイス技術者の元同僚の処遇がどうなるのかは、少々気になるところですね・・・。

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    2007年1月10日 (水)

    iPhone登場

    前々から噂され、どんな形になるかこんな風に予想されたりして騒がれてきたiPhoneですが、ついにMAC Worldにて発表されました。

    Indexhero20070109

    appleの公式サイト

    日経の記事

    フルスクリーンのタッチパネル方式で、iPod、webブラウザ、メールソフトなどの機能が入っているようです。まず、アメリカでの発売が6月で、シンギュラーワイヤレスのGSM方式での携帯サービスになるようです。次がヨーロッパで2007年後半、アジアでの発売は2008年になるようです。

    しかし、最後発でもこのデザイン、うう・・・・欲しい・・・。日本ではすぐには使えませんが、とりあえず手にとって見たくなるこの魔力はずるいなあ。もう、アップルはコンピュータ家電のブランドでは別格ですね。

    ちなみにアップルは社名からコンピュータの文字を外すらしいです。

    MacWorldには禿のおじさんが来ていたようですが、日本で出してくれるのかな?

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