2009年10月18日 (日)

【書評】「日本「半導体」敗戦」 湯之上 隆著

日本「半導体」敗戦 (光文社ペーパーバックス) Book 日本「半導体」敗戦 (光文社ペーパーバックス)

著者:湯之上 隆
販売元:光文社
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久しぶりに日本の半導体について書いた書籍を読みました。

大体の半導体業界について書いた本や論文は、「日本は昔はよかったけど今はだめだ!」のパターンで、読むたび「そうなんだけどね・・」とため息をつきます。

前に取り上げた「NEC凋落の本質」やREITI(経済産業研究所)の研究員のレポートもそうです。

マゾなんですかね。

今回もまぁ、そのパターンの本です。

筆者は元日立のDRAMエンジニアで、早期退職勧告にしたがって会社を辞めて社会科学研究者として半導体業界の評論活動を行っている方です。割と名前はよく拝見します。

この本の主張や洞察に関しては、半導体業界に生息している多数のエンジニアにとって、特に目新しいことではありません。「過剰品質、過剰性能である」、「高コスト体質である」、「低コスト化技術が必要である」、「国プロはうまくいかない」などなど、普段から職場や飲み屋で議論しているようなことです。ただ、それを多数の数値データやインタビューの裏づけで説得力を高めているところが筆者の社会科学者としての仕事なんだろうと思います。

驚きはむしろ、2004年の時点で、半導体メーカーの幹部が「過剰品質、過剰性能」を指摘されて怒り出したというくだりでしょうか。アホじゃないでしょうか。中に出てきた、烈火のごとく怒ったという元社長というのは、故○本さんのことかな。DRAMにこだわりが強かったみたいだし。

ただ、筆者は元DRAMのデバイス・プロセス技術者という経歴からか、どうもデバイス・プロセス技術屋の視点から抜け出せていない気がします。低コストの量産技術が重要なことはもちろんなのですが、過剰品質・過剰性能を改めればそれだけで日本の半導体業界は復活するというのは少々甘い気がします。事実、筆者が低コスト技術志向で絶賛している台湾のDRAMメーカーはリーマンショックで軒並み経営危機に陥りました。そもそも、IDMやファウンダリでまともにビジネスになっているのはサムソン、インテル、TSMCくらいでしょう・・。つまり、低コストで作ればいいということではないのです。

 一方で90年代後半から躍進したQualcom, Broadcomなどファブレスメーカーについての記述が薄いように思います。彼らは投資負担の重い生産設備を持たないということ以上に優れたマーケティングと経営戦略が勝因であるように思います。

 つまり、これから半導体業界で商売するには個別技術よりマーケティングと経営戦略がますます重要になるという他業界では当たり前の話です。

 技術は重要だけど、あくまで何かを実現するための手段、基盤です。今までの半導体デバイス・プロセス技術者は、微細化ロードマップに従ってひたすら微細化することを目標にしていました。その技術をどう使うかを考えるのは他人の仕事とばかりに。これが今の技術者の苦境を招いている部分が大きいと思います。ムーアの法則にキャリアを頼れなくなってきたこの時代には、何を世の中に送り出したいのかを考え、その実現手段として技術を開発するという原点を、半導体技術者も見直すべきだと思います。

 

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2009年10月 3日 (土)

【書評】「よかれ」の思い込みが、会社をダメにする―飛躍的成長を実現する全体最適のマネジメント

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友人のコンサルタントが「TOCを知ってる?」「TOCはすばらしいよ」「これからはTOCだよ」「TOC,TOC...」と言っているので、TOCの文字が載っているこの本を丸善で見かけて思わず買ってしまいました。

「よかれ」の思い込みが、会社をダメにする―飛躍的成長を実現する全体最適のマネジメント岸良 裕司(著) はTOCコンサルタントが書いた入門書です。イラストが豊富で、厚みも小さくて読みやすいです。

TOCはTheory of Cnstraintの略で、日本語で言えば制約理論。トヨタ生産方式を理論化したもので、工程のボトルネック、つまり制約に資源を集中してオペレーションの効率をあげましょうという意味のようです。トヨタの在庫管理の考え方を生産工場だけでなく、サプライチェーン全体に広げて少ない資源で効率的に利益をあげましょうということです。

・カスタマーはコスト低減を求めている

・大量購買はコストが下がって効率的

・大量生産は原価が下がって効率的

・開発には日程の余裕が必要

このような常識は本当なのかを疑ってみましょう、というところから始まっており、なかなかに目からうろこでした。

 トヨタ生産方式は、トヨタの人がコンサルタントになっていろいろな企業に導入されているけど、トヨタほどの成功を上げたところは一つもないといいます。これは、「カンバン」「アンドン」などの表面のみ真似して、考え方の本質を学んでないからであるといいます。全体最適化をして少ない資源で利益を上げるために何をすべきかを考え抜くのが本質だといいます。なるほどねー。

 でも、本家のトヨタも、最近は在庫やコスト削減を下請けに押し付けて原価低減を達成しているという評判もあります。本家ですら、トヨタ生産方式の真髄を保つのは難しいのかも知れません。

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【技術参考書】:図解でわかる はじめてのデジタル画像処理

図解でわかる はじめてのデジタル画像処理 (単行本(ソフトカバー)) Book

画像処理を勉強しなくちゃいけなくなり、図解でわかる はじめてのデジタル画像処理 (単行本(ソフトカバー)山田 宏 尚(著)を読みました。

画像処理を初めの一歩から網羅的に解説していてとても分かりやすい。自分のような超初心者にはとても参考になりました。処理方法の詳細については触れていないので、これで概要をつかんでから次のステージに進むのがよいように思われます。

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2009年8月 1日 (土)

岩瀬大輔氏「金融資本主義を超えて

最近、岩瀬大輔氏の「金融資本主義を超えて」というハーバード留学の体験記を読んでます。
金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫) Book 金融資本主義を超えて―僕のハーバードMBA留学記 (文春文庫)

著者:岩瀬 大輔
販売元:文藝春秋
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 ハーバードビジネススクール(HBS)での経験と、そこで考えた様々なことを洞察深く書いていてとても面白いです。
 HBSといえば、世界中のトップエリートが勉強しにくるのですが、日本のMBAコースとは生徒のスケールが違う。グローバル企業でスピード出世して数百人の部下を25歳で持ってましたとか、学生時代にベンチャー起こして売り払って、ファンドからアルゼンチンの鉄道会社に出向して20代でCFOやって再建にがんばってましたとか。また、会う人物もその業界のトップクラスの人たちで、HBSの学生といえばかなり認めてもらって話ができるとか。
 本を読んでいると、もう我らサラリーマンとは発想のレベルからして違ってるなーと思った。みんな20後半から30前後なんだもんね~~。
 日本のMBAって、仕事をしながら経営に必要な知識を学ぶというスタイルが多いので人生観を根本から変えるということは少ないし、こういう環境から受ける刺激という面では全然敵わない気がします。

 岩瀬大輔氏は、「ハーバード留学記 資本主義の士官学校にて」という人気ブログを書いていた有名人です。開成から東大法学部で在学中に司法試験に合格して、その後ボストンコンサルティンググループ、ICG、リップルウッドを経てHBSでベイカーズスカラー(上位5%)を取り、今はライフネット生命という会社を興したいわゆるビジネスエリートな方です。でも、文章からは変なプライドは感じさせず、素直で飾らない人柄なんだろうなーというのが想像できる。非の打ち所がなさすぎる。
 こういうキャリアの人って、もちろん本人が優秀なんだけど、親が与える教育環境も相当影響あるよなーと思う。岩瀬氏は親が大手商社の幹部で、小学校時代はイギリスでクイーンイングリッシュを叩き込まれて英語ぺらぺらだし、その後も親の赴任先に遊びにいったりして国際感覚を養っているわけで、それが受験時も外資でもHBSでも、ずっと役に立っているわけです。同じHBSを卒業して楽天を創業した三木谷さんも親は学者だし、なんつーか、セレブの子はセレブなわけで、スタート地点がちがうという感じです。親が子に受け継ぐ資産は、お金じゃなくて教育だなーと実感できるわけですな。
 そう考えると、僕もリストラの最中だったにも関わらず東京の予備校と大学に出してくれた親には感謝せざるをえない。

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2008年7月26日 (土)

【技術参考書】最新VLSIの基礎 Yuan Taur/Tak H.Ning著

今回は、半導体物理の教科書、タウア・ニンの最新VLSIの基礎です。

タウア・ニン 最新VLSIの基礎 Book タウア・ニン 最新VLSIの基礎

著者:Yuan Taur,Tak H. Ning
販売元:丸善
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Fundamentals of Modern Vlsi Devices Book Fundamentals of Modern Vlsi Devices

著者:Yuan Taur
販売元:Cambridge Univ Pr (Txp)
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半導体デバイスの教科書としては古典的名著として、SZE氏のものが有名ですが、

半導体デバイス―基礎理論とプロセス技術 Book 半導体デバイス―基礎理論とプロセス技術

著者:S.M. ジィー
販売元:産業図書
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こちらは、Sze氏のものよりかなり後に書かれてて(1997年)その分、比較的新しいCMOSの理論が取り入れられています。会社にCMOSデバイス技術者として入社したとき、ベテランの先輩からこの本を薦められたので、原著と和訳、両方読みました^^;

内容としては、MOSデバイスの基礎理論に重きを置かれており、バイポーラデバイスの項はかなりのページは割かれているものの従属的な扱いの印象があります。まあ、CMOS全盛の世の中ですから、当然ですが。

pn接合などのデバイス物理の基礎から始まって、長チャネルMOSFET、短チャネルMOSFET、CMOSデバイス設計など、かなりデバイスの基礎理論が丁寧に説明されています。前提知識は、大学初等程度の数学と物理の知識で、全部読み通せばまったくの初心者でもかなり深くMOSデバイスの基礎理論を理解できるようになると思います。デバイス技術者を志す人にはお勧めです。(バイポーラの章は軽く目を通しただけなので、ノーコメント^^;)

反面、CMOS性能因子の項では、ロジック素子の遅延でしか議論しておらず、MOSデバイスの雑音には触れられていないなど、ロジック向けの性能にしか目を向けておりません。デバイスモデルとの関連付けもないので、アナログ回路設計者がデバイス物理について理解を深めたいなら、下記のようなMOSデバイスのモデリングの本を読んだほういいかもしれません。

CMOSモデリング技術―SPICE用コンパクトモデリングの理論と実践 Book CMOSモデリング技術―SPICE用コンパクトモデリングの理論と実践

著者:青木 均,嶌末 政憲,川原 康雄
販売元:丸善
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2008年7月18日 (金)

ソニーをダメにした「普通」という病 横田宏信著

先日、勤務している会社のグループの社長の講演を聞きました。社内のスピーカーを通して会社のビジョンについて熱く語っているのですが、なぜか全然伝わってこない。回りの同僚も、まじめに聞いている人は一人もおりませんでした。どうしたもんでしょう?

さて、今回読んだのはこの本です。

ソニーをダメにした「普通」という病 Book ソニーをダメにした「普通」という病

著者:横田 宏信
販売元:ゴマブックス

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そんなにソニー本が好きなのかよ!と突っ込まれそうですが、この本は、他の方のブログやアマゾンでの書評が好評だったので、興味を引かれて読んでみました。難しい言葉は一切使っておらず、読みやすくてさっと読めましたです。

著者の横田さんは、ソニーの資材部門で13年働いたあと、ベンチャー起業→外資コンサルと渡り、キャップスジェミニのVPまで上り詰めた後、今はコンサル会社を経営しているという、面白い経歴のコンサルタントの方です。MBAなどに頼らずに事業会社から外資コンサルのトップまで上り詰めただけのことはあって、その辺のコンサルが好きそうな管理会計、内部統制などの流行りモノ経営手法を一刀両断して、自分の言葉で会社やビジネスについて語っているのが面白い。

「自分の人生の浪費」、「他人の人生の浪費」は悪であり、それゆえ経営は合理性が大切であり、内輪の論理で無駄な時間を浪費するのは、結局経営効率を落とすという観点は面白い。「本来、世界は働くことをただ楽しむように出来ている」という言葉は、筆者の労働観を端的に現していると思います。マルクスの労働者は搾取されるもの、という観点と対極をなしていて面白い。労働そのものに悦びを見出す伝統的な日本の労働観に近いというか。派遣労働者や請負、下請けなどの蟹工船のような労働環境は、何かがゆがんでいるのか、それとも、この筆者のような知的労働者と、マルクスの想定しているブルーカラーは労働に対する立場は本質的に違うのか。しかし、筆者が英国で触れたブルーカラーは誇りに満ちていたという話から考えると、何かがゆがんでるという解釈が正しそうな気もする。

技術者として印象に残ったのは、「機能価値」と、「使用価値」のくだりですね。あれが出来る、これが出来るというのは「機能価値」。それをこう使うとユーザーにはこんなメリットがあるというんが「使用価値」。技術者は、「機能価値」=「使用価値」と考えがち。でも、ただいま絶賛話題の中の「iPHONE」や、「iPOD」などの大ヒットしたApple製品は、実は「引き算」の製品なんですよね。iPODでは、ラジオは聞けないし、曲名の編集もできない。iPHONEも既存の携帯では必須と思われてきた機能のいくつかは出来ない。でも、どの製品も想定ユーザーを楽しませるには何が必要かを考え抜き、それ以外を思い切って取り除いたからこんな斬新な製品が出来たんですね。別に最先端の独自テクノロジーを採用したわけではない。ソニーがcellを開発したとき、面白い挑戦だと思いつつもなにか違和感を感じたのは、この「機能価値」ばかりが前面に出て「使用価値」が感じられなかったからだと思います。アップルが、往年のソニーのように感じられるのは、ユーザー体験という「使用価値」に邪魔なものは思い切って取り除く姿勢が新鮮に感じられるからでしょう。

技術者は、機能を開発する立場なので、どうしても「機能価値」に関心が集中してしまいますが、「せっかく開発したけど、使わない!」という判断もできるようにしたいと思います。

ただ、高学歴者は「機能価値」ばかりで使えないというのは・・・筆者も慶応出身で、十分高学歴だと思うのだが(笑。でも、高学歴で大企業出身が使えない、そしてコンサルや金融は社会の間接部門だからでかい顔するな、とことごとく自己否定されているのは、面白いですね。

筆者のビジネスに関する考え方で共感したのは、「ビジネスとはいかに本質に近づき、その後いかに本質の近くにとどまるかの勝負である」というところです。そして、経営者の仕事とは、「お金を活かす」ことではなくて、「人を活かす」ことであると。これらは僕の心には非常に響きました。右肩上がりの経済成長が終わり、企業が利益を出すことが非常に難しくなった現在、世の中にいろいろな経営手法、経営理論が満ちており、さらにそれを効率よく習得できるとしてMBAがエリートの切符のように言われております。また、それら理論を駆使して、あたかも人を部品のように扱い、いかに低コストで「効率よく」動かして利益を得るかが経営だと一般には思われております。さらに、お金を右から左に動かして巨額の利益を得る投資銀行などが花形職業として世間の注目を浴びております。こんな世の中で、筆者の視点は、新鮮でした。本当は、これが真っ当な考え方なんですけどね。ビジネスや、経営というのは、本質を自分の力で考え抜くことが一番大事で、世間に流布している知識を一生懸命習得して真似っこすることではないと。組織論として、「人が人の上に人を置くという無謀さを無謀と知ることである」というのもいいと思いました。

 筆者の観点として、経営とは人の本質を追求するものであり、組織はその認識の上に立たねばならないというものがあると思います。人間中心主義ですね。コンサルなのに、いわゆる「米国かぶれ」のコンサルとはかなり言うことが違っていて好感できます。「コンサルや金融は所詮社会の間接部門である」っていう自己認識とかね(笑)。機会があったら是非お話を伺いたいですね。

 僕は、世の中の経営理論や経営知識というものを知らなくていいということでは決してないと思います。もちろん思考の材料として知識は大切。ただ、あくまで材料。仕入れた知識は、一旦否定してみるべきものだと思います。意識的に仕入れた知識から距離を置き、盲従を避ける。そして、それらを組み合わせ、自分なりに思考し、試行錯誤し、自分で体系をくみ上げるべきものだと思います。これは技術開発でも同じで、人によっては、論文なんか読むな!といいます。これは、論文ばかり読んで、それに盲従するだけになるなら、そんなの読まずに自分で考え抜くほうがよほど大事だということです。まあ、実際には論文を一切読まずに技術開発など不可能ですがね。

筆者がソニーについて触れた部分は、「技術空洞」や、「本社六階」など他のソニー本と大体筋は会ってますね。本社の官僚化や、数値管理を入れたことによる活力の低下など。不思議なのは、「ソニーの遺伝子をもっとも受け継ぐのは技術者である」というのに、ソニー本を出してソニーについて饒舌に語るのはみな事務系の人たちばかりなんですね。なんでですかね。でも、なんだかんだ批判してても、ソニーに対して皆誇りや愛着が感じられるというのはなんともうらやましいですね。

うん。自分の生き方も背中を押されるような、いい本でした。

さて、冒頭の話ですが、なんで社長の話が心に響かないか。これは、この本でいうところの「優等生」っぽいからなんですね。うちの会社はまじめな「優等生」はとても多く、世間で話題になっている手法はすぐにあれこれと入れます。かつては「ベンチャー制度」、「成果主義」、社内公募制度、カンパニー制、ISO取得、そして、CSR、SOX法対応、環境経営、etcetc... もちろん、社外コンサルもよく入れて「構造改革」をやっています。でも、ここ10年以上、一向に会社が成長しないのは、結局経営者を含め皆一生懸命勉強はするんだけど、自分の頭で考え抜くということを、どこか手抜きしているからじゃないかと思います。この社長も、「ビジョン」や「理念」は会社をまとめるのに大事だね、という知識を仕入れ、一生懸命ビジョンを作ったんだと思いますが、なんだか空虚なのは、この会社が長い伝統で培ってきた風土のようなものをどこか否定しようとしているからじゃないでしょうか。確かにその「風土」が成長を阻害している部分もあるかもしれません。しかし、よくも悪くも会社の個性なわけで、そこを土台にしたシンプルな「理念」や「ビジョン」が大事なんじゃないでしょうか。

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2008年7月 1日 (火)

【技術参考書】アナログCMOS集積回路の設計 応用編  Behzad Razavi 著

Razaviの定番教科書の応用編です。

 アナログCMOS集積回路の設計  応用編 アナログCMOS集積回路の設計 応用編
販売元:TSUTAYA online
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こちらは、基礎編よりシステム寄りな内容が多く、フィードバックから始まり、オペアンプ、安定性と周波数補償、BGR、スイッチトキャパシタ、非線型性とミスマッチ、発振器、そしてPLLが主な内容となってます。あとは、デバイス物性やモデリングなどに関する言及ですね。

基礎編、応用編と内容をマスターすれば、アナログCMOS回路設計の基礎的な知識はほとんど習得できると思います。ただ、Razaviさんの専門柄か、PLL関係の内容は多いのに比べ、ADC/DACに関する内容はほとんどありません。それに、⊿Σのようなデジタルシステムも絡む信号処理技術は別の教科書で学ぶ必要があります。

ただ、この本では知識だけでなく、アナログCMOS回路を考えるときの洞察の仕方が学べます。なんどもなんどもページを開ける、名著といっていいでしょう。

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2008年6月22日 (日)

【技術参考書】アナログCMOS集積回路の設計 基礎編  Behzad Razavi 著

本ブログは長いことさぼりまくってましたが、これからは自分の勉強のためにもなるべく定期的に更新していこうと思います。自分の視点から見た半導体に絡むいろいろな話題を提供できればなーと思います。

さて、今回は、書籍紹介です。アナログCMOS回路設計者の定番の教科書、アナログCMOS集積回路の設計 基礎編(Behzad Razavi 著  黒田 忠広 監訳)です。

 アナログCMOS集積回路の設計  基礎編 アナログCMOS集積回路の設計 基礎編
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このrazavi先生は、UCLAの教授で、特にCMOS無線回路では大家の大変有名な先生です。

基礎編では、デバイス物理の基礎から、一段増幅回路、カレントミラー、高周波特性、雑音くらいが主な内容になっています。

他のアナログCMOSの教科書に比べ、若干とっつきにくい感はあるものの、その説明の丁寧さは群を抜きます。単なる回路の説明だけじゃなくて、考え方、MOSFETの見方を教えてくれているような気がします。最初のデバイス物理は、本当に単純なモデルで先端プロセスでは必ずしも当てはまらないものもあるものの、回路のざっくりとした検討では多くの場合有用だったりします。

自分も繰り返し繰り返しお世話になっておりますが、経験値を積むと新たな発見があるような、とてもいい教科書だと思いますねー。

ただ、和訳本の最初のころの版は結構誤訳や転記ミスが多いので、納得できないところは英語版も合わせて読んだ方がいいかもしれません。

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2006年5月 1日 (月)

「技術空洞 VAIO開発現場で見たソニーの凋落」を読みました。

 ソニー本ってのは腐るほど出ていて、ビジネス書にソニーの名前をつけさえすれば、そこそこ売れるという浅はかなマーケティングがあるんだろうなーなんて日ごろ思っているのですが、ついつい釣られて買ってしまう浅はかな僕です(泣

暴露本ってのは、往々にして著者は評論家になってしまって自分の事を棚上げにして論を展開しがちなのですが、それでも元内部者だけに問題点はそれなりに的確についていたりします。

著者の宮崎琢磨氏は文系入社でVAIOの企画部門に配属されているのですが、技術者と共同で開発に携わっていたようで、主に技術者の視点からソニー批判を繰り広げています。

で、この宮崎琢磨氏の著書と、竹中真司氏の「ソニー本社六階」を読み比べると、技術者から見た視点と、事務方から見た視点を対比できて面白いです。

宮崎氏は、VAIOの開発現場に1998年に配属になり、それから2~3年は技術者が自分の理想を世の中に問うような開発、いわゆるソニー的「愉快ナル工場」を楽しめたといいます。出井氏が数値評価で現場を縛り始めたときにそれが崩壊し、VAIOの商品力、さらにはソニーの技術力自体が劣化し始めたと書いてます。まあ、大体が出井氏批判ですね。出井さんの技術軽視は有名で、知り合いのソニーの現場の技術者も殆どアンチ出井でした。この出井さんの現場軽視の姿勢が優秀な技術者の流出を招き、ソニーの現場崩壊を招いたと書いています。

それに対する竹中氏はバブル直前での経営企画室配属で、宮崎氏いわくの「本社様」です。こっちは、配属時にはすでに大賀典雄氏による恐怖政治で官僚化が進行していたようです。大賀氏独断によるコロンビアピクチャーズ買収、テレビ用ガラス工場立ち上げ等効果不明な投資で巨額の資金を流出させてしまい、巨額の負債を負ってしまい、ソニーの力を劣化させたと書いています。こっちは殆ど大賀氏批判です。独裁政治で幹部連中がみなイエスマンになってしまったことが人材流出と経営方針の誤りを招いたと。

つまりは、宮崎氏の入社の約10年前にはすでに事務方からソニーの崩壊は始まっていた、ということになりますかね。ソニーのカリスマ経営は伝統みたいなものなので、問題の根は深いかもしれませんねー。しかし、ソニーでも、事務方と技術系では、現場の雰囲気が全然ちがうもんなんですね。技術系は、いわゆるイメージされる「ソニー」な感じなのに対して、事務方は役所的というか、政治的というか、言ってみれば、他の会社と変わらない雰囲気ですね。それをことさら嘆いて本にできるのは、やっぱソニーの持つブランド力なのかもしれません。それと、宮崎氏はソニーの技術力は壊滅状態だという感じで書いていますが、少なくとも半導体に関しては、人と金を惜しげもなくぶち込んだおかげで、技術力は急上昇している印象があります。6、7年前まではソニーの半導体事業というとしょぼいの一言だったのですが、今では著名な学会での発表件数も増え、業界での存在感は増す一方です。まあ、最終製品の部署と半導体の部署では、これまたまったく雰囲気が違うんでしょうけどね。

ただ、読んでて重要なポイントだなーと思ったのは、カンパニー式の統治システムや、EVAなどの数値評価を取り入れた途端、現場の活力が無くなったくだりです。技術者の創造力というのは、自由な精神性に多分に裏打ちされているので、厳密な管理システムのもとでは十分発揮しにくいものなのです。経営側からは、管理システムをきっちり整備すると社内が把握しやすくなると考えるのでしょうが、革新的な技術は、いわば親の目を盗んだいたずらみたいなことから始まることも多いので、社内に「遊び」や「隙間」を残しておかないと、長期的な技術力が低下しやすいんですね。

翻ってみると、今の日本の半導体メーカーは長い低迷のおかげで、会社に「遊び」を残す余裕がなくなってきてます。ベテラン社員から聞くと、昔は「隠れプロジェクト」などと称して内緒で自分の興味のある技術を試作して研究した時代もあったみたいですが、研究所も目先の事業につながる研究優先だし、事業部でも余技の開発をやる余裕がありません。これが技術の種の枯渇を生み、日本から革新的な半導体製品が生まれない理由の一つにもなっていると思われます。たしかに、現在は試作一つにも数千万から億円単位の金がかかるので、「遊び」の仕事をしにくい面があるのですが、経営の数字には表れない「現場の活力」や「現場の自由度」を経営者はもっと大切にして欲しいなと思います。

技術空洞 Lost Technical Capabilities Book 技術空洞 Lost Technical Capabilities

著者:宮崎 琢磨
販売元:光文社
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ソニー本社六階 Book ソニー本社六階

著者:竹内 慎司
販売元:アンドリュースプレス
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2006年4月 7日 (金)

インドに行く前に読んだ漫画

インドに行く前に、バーで会った年配の女性に「行く前にぜひ読んだほうがいいよ」と薦められたのが、「ぢるぢる旅行記」です。

これは、漫画家の故・ねこぢるさんが、夫婦でインドにバックパッカーで旅行した体験を漫画化したものです。

主に舞台はバラナシです。カースト制に拠って生きるインドの混沌・矛盾、そして深さがガンジャの匂いとともにwwよく伝わってきます。

漫画としてもクオリティ高いので、読むとインド行きたくなりますよ。

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