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2009年5月29日 (金)

なぜ日本にシリコンバレーが出来ないか

最近お気に入りのNZに移住したい人のブログ
http://remote.seesaa.net/
の著者は、
・元大手電機メーカー
・元半導体プロセス技術者(現SE)
ということで「あれ?これうちの会社?」というほど会社の描写も似ていて、大変興味深く読んでいます。日本の電機メーカーの体質にほとほと嫌気が差してニュージーランドに移住を試みて2年ほど奮闘し、結局NZではなくカナダの会社に転職してカナダに移住して楽しくやっているようです。

このブログ読んでて思ったことがあります。日本にシリコンバレーが出来ない理由についてです。昔から「日本経済の復興には、ベンチャーによるイノベーションがかかせない!」という話は、何回も聞きますね。「大学発ベンチャー一万社構想」とか、「日本版シリコンバレー構想」とか、政府とか官庁のキャッチコピーもよく聞きます。でも、一向に日本に次々テクノロジーベンチャーが出来て成功するという話は出てきませんね。むしろ「ベンチャーなんかより大企業」、「チャレンジより安定」という傾向が強くなっている気がします。
 これって、政府や官庁の施策のまずさっていうより根本原因は「日本人は失業することがすごく怖い」ってことにあると思います。もちろんアメリカ人とかカナダ人が失業へっちゃらってことではなく、彼らも職がなくては食べていけないので必死なのですが、日本の場合、それに加えて「集団から外れる怖さ」、「社会な承認を失う怖さ」が文化的、社会制度的に他国に比べて強いのだと思います。日本は人を評価するとき、その人が何者かより所属集団で評価することが多いですよね。しかも、所属集団の実態より、名前や規模のみで評価されることが多いですね。
例えば、娘が親に彼氏を紹介するとき、
「彼は、日立に勤めてるの」という場合、
「彼は、アクセルっていうベンチャー勤めているの」という場合
「彼は、フリーのプログラマなの」という場合だったら、
親の彼に対する評価は日立>アクセル>>>フリーでしょう。
彼がどういう人かって言うのは、所属組織の次なわけで。所属組織にしても、日立は9000億の赤字を出していたり、アクセルという会社は利益率50%で平均年収1000万円以上の超優良ベンチャーという実態はどうでもよくて、名前が通ってて規模がでかいということが重要だったりします。
 つまり、日本では、大きくて名の通った組織に所属することがもっとも承認されやすく、生きていくのが楽なわけです。日立を辞めるということは、日立グループ30万人の集団からはずれ、日立というバックを失うことです。これは、日本人にとっては、すごく怖い。
 裏を返すと日本人は集団から外れた人にはとても冷たく、失業者への社会保障という話になると、必ず「なんで無職の人間に、俺達が払った税金を使って保護してやらなくちゃならんのよ」という論調が出てきます。働き盛りで無職は、日本では人ではないのですね。これでは気軽に会社を辞めることなんて出来るわけはない。
 日本で会社を興す人に比較的たたき上げが多いのは、いわゆる有名大学でいい成績をとった者は大企業に入るため、会社を辞めてまで会社を興すモチベーションは生まれず、そもそも不安定な位置にある人が一発逆転を期して会社を立ち上げることが多いからだと思われます。

 さらに付け加えれば、ベンチャー立ち上げて成功すると、今度はやっかまれます。「あんなに金を儲けやがって・・・」、「うまいことやっておいしい汁吸いやがって・・」etc。嫉妬の文化というやつです。リスクは大きく、成功しても賞賛どころか足引っ張り。ホリエモンが逮捕されて一気にベンチャーブームが下火になったのはそういう現実を若者が見たというのも大きいでしょう。

 ベンチャーで働くということは、組織は当てにせず、個人の能力で生きていくということを意味します。潰れて当たり前、失業して当たり前、組織のバックはなくて当たり前です。政府がいくらベンチャー振興政策をしたところで、上のような日本の風土があるかぎり、チャレンジする人は増えないでしょう。日本にシリコンバレーを作るなんてことはどだい無理な話だということが分かります。

 しかし、市場環境が激変する業界では、大企業の長い伝統がしばしば足枷になります。市場は変わっても自分達は変われないので、どんどん取り残されていく・・。これが日本の大手電機の閉塞感の正体だと思っています。
 閉塞感から突破して楽しく生きるには、カナダに移住したブログ氏のように集団とは違う道を自分で探して歩くのが大事なのかな、と思います。それが僕にとってなんなのかは・・・模索中どす。

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コメント

はじめまして。
いつも楽しく読ませてもらってます。

自分も半導体のアナログ回路設計やってます。
とはいっても、やり始めて1年も満たない
ただの見習いですが・・・。

最近の半導体業界の動向を見てると、
将来失業しないためにも
若いうちに高いスキルを
身につけなければと感じます。

ただ、業界の現状や将来のことを目をつぶれば
個人的にアナログ回路設計は面白く、
やりがいはあるとは思ってます。

投稿: majestic | 2009年5月30日 (土) 23時02分

majesticさん
コメントありがとうございます。
アナログ設計やってらっしゃるんですね。
充実したお仕事をされているみたいですばらしいですね。
アナログ設計はデバイスレベルからシステムまで幅広い知識と経験の積み重ねが必要ですので、奥が深いと思います。
僕もまだまだです。アナログ設計者はつぶしが効くといわれてますので、是非がんばって磨いてください。
それと、業界の現状や将来には決して目をつぶらないでください。こういう激変する業界にいると、自分の立ち位置の確認と将来の動向の自分なりの予測が大事だと思います。
 そして、将来自分はどうなりたいか、そのためには何を学んで経験しておくことが大事かを自分で考えてください。会社にキャリア構築を依存してしまうと、会社が沈んだときにつらいことになります。
 

投稿: ちぶぞう | 2009年6月 9日 (火) 23時25分

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