« エンジニアのキャリア観の違い | トップページ | 村上春樹氏のエルサレム賞受賞スピーチ »

2009年2月 4日 (水)

日本型社会主義はいかが?

 資本主義というのは、労働者が加工したモノを売り、加工で得られる付加価値と労働者に分配する価値との差を蓄積して成長を志向するものです。そこでは労働者に分配する価値を下げる圧力が常に働きます。従って、富を蓄積する資本家以外の労働者はすべて搾取の対象となり、原理的に貧富の差が発生する構造となります。これが身近なところでは派遣切り、グローバルには南北問題と、あらゆるところに格差を生む原因になっています。

そこで、日本だけでも資本主義を止めて社会主義に転換するというのはどうでしょう?
和を重んじ、突出を嫌う日本は、実は社会主義が一番似合う国民性ではないかと思う。
今までの社会主義が失敗した原因は、行き過ぎた平等主義と、一部の特権階級による権力の独占です。
そこで、競争と公平をバランスさせ、特権階級の固定化を防いで、日本をひとつの会社のようにしてしまうのです。日本株式会社。

すべての企業は国有化して、産業のコントロールを行う。企業で言えばGEのようなコングロマリット経営です。国家の持続的な成長を目的にして事業ポートフォリオを考えます。
仕組み的に失業者は発生させず、どんな人もなんらかの職業について働くものとします。働かざるもの食うべからず。給料は、グレード、役割によって違うものとしますが、基本的に格差はゆるやかにする。経営者と平社員の格差の小さい日本企業みたいなものです。職業および収入情報は国がもっているので、ニートやアングラ産業は発生しにくい構造となります。
 重点産業は、農林水産業と医療、環境分野でしょうか。基礎技術としてはバイオ、電子、ソフトウェア。半導体のように、大規模な投資が必要な産業分野は、しばしば国家のバックアップが勝負を分けたりします。国の基幹技術には国家のリソースを惜しみなく投入して何が何でも世界のイニシアチブをとる。これで国際社会での競争力を確保します。 農林水産業は国の足腰です。従事する人口及び生産性の向上は国家が主導したほうが早いでしょう。

そして、国家としてもっとも力を入れるのは、教育です。基本無料にすべきでしょう。読み書きそろばんより重要視するのは、利他と勤労の価値観です。国民が利己的になったり勤勉でなくなったりするとたちまち社会主義は崩壊してしまいます。「利他」と「勤労」の価値観を評価するような社会システムにし、人様のために良く働く人が社会的に重要なポジションに位置し、相応の処遇を受けるようにします。日本はこのような価値観の下地はある程度あるので、なじみやすいんじゃないでしょうか。
 そして、社会主義の場合、指導層のリーダーシップがすべての鍵をにぎるので、エリート教育を徹底させます。家柄や資産に関係なく、優秀な学生にはどんどん投資して最高の教育を受けさせ、広い視野と深い知識を持ったリーダーを輩出するような体制にします。この辺は、米系の優良大企業のような仕組みですね。社会的にも、リーダーシップをとる人間の足を引っ張ったり嫉妬するより、評価してどんどん活躍してもらう価値観を浸透させなくてはなりません。こちらは日本は嫉妬の文化というくらいなので、かなりがんばって風土の転換を図らないといけませんね。「利他」「勤労」の価値観と最高のエリート教育の両方を併せ持ったリーダーは、素晴らしい指導者になる期待が十分持てるでしょう。
 
 言論の自由はできるだけ確保されます。しかし、職業選択の自由はある程度制限されます。新入社員の配属のようなものです。本人の希望は一応聞くが、適性と社内のリソース配分の都合で決定するのと同じですね。

 国民全員が力を合わせて働くので、基本的にワークシェアです。当然賃金は安くなりますが、教育は無料だし、福祉は充実するので、生活にそれほどお金は要りません。贅沢はできないけど、仕事を首になる心配はないし、ワークライフバランスの取れた時間的に余裕のある生活が送れます。こちらのほうがよっぽど出生率が上がって健康的な社会になるかもしれませんね。

・・・というのを考えてみましたが、どないでしょ?意外とこっちのほうがいいという人多かったりして。

|

« エンジニアのキャリア観の違い | トップページ | 村上春樹氏のエルサレム賞受賞スピーチ »

コメント

初めまして。
このシステムはなかなか興味深い構想であると思いました。
しかしながら、こういった哲学的思想を現実のものとする為には多大な犠牲と努力が必要になることも確かですね。
もう一度戦争に負けて焼け野原になるか、クーデターを起こす。そのくらい大掛かりなことです。

いずれにせよ、まずは教育をもっともっと改善しなければいけないと私も感じているところです。

投稿: Brew Kitty | 2009年2月21日 (土) 12時05分

>Brew Kittyさん
コメントありがとうございます。
Brew Kittyさんのおっしゃるとおりだと思います。
これはあくまで、思考実験ですね。
実は、僕は社会主義というものには結構懐疑的なので・・どうしても机上の理論な感じがして。

自分も教育が結局一番大事だと思います。
教育も、どのような人材を輩出したいかというビジョンがまず大事だと思います。
個人的には、社会に対するリテラレシーの高い自立した市民を輩出するという機能と、グローバルでリーダーシップを取れるエリートを輩出するという機能が両立すればいいなあと思います。

投稿: ちぶぞう | 2009年2月22日 (日) 00時18分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/75660/27782102

この記事へのトラックバック一覧です: 日本型社会主義はいかが?:

« エンジニアのキャリア観の違い | トップページ | 村上春樹氏のエルサレム賞受賞スピーチ »