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2009年1月18日 (日)

エンジニアのキャリア観の違い

よく行っている技術者勉強会のテクノ未来塾は、それなりに名をなした技術者がよく講演に来ます。
この前講演に来た人は中小企業の社長で、論文発表200件とかいうたたき上げの技術者です。
こういう中小企業の技術系経営者は、
「エンジニアというものはひとつの職場で10年、20年とじっくり育っていくものだ。ちょっと職場がイヤになったからといってすぐ転職などという風潮を一部のブローカーが作っているのは実に嘆かわしい」
という立場の人が割と多いです。

一方で、渡辺千賀さんのシリコンバレーエンジニア紹介コラム(http://www.pasonatech.co.jp/hatarake_sv/index.jsp)で紹介されている人は、
「ひとつの会社で3年いれば、大方のことは吸収できる。自分をさらに行かせる職場へ転職し、新しいチャレンジを繰り返すことで成長していくことが大事だ」
というキャリア観の人が多いですね。

渡辺千賀さんのコラムは人材紹介サイトに掲載されているということは割り引いたとしても、同じエンジニアでなんでこうも違うんでしょうね?
自分は、中小企業のオヤジは頭が古くて時代遅れだから・・・というわけではないと思います。

日本の技術系中小企業というのは、モノ作りの会社が多いんですね。上のような主張をするおじさんというのは、鉄鋼材料や精密機械など、職人的なノウハウを要求するような仕事に携わっている人が多いです。この場合、技術を身につけるのに何年もかかるし、その技術も装置の癖も含めた会社固有の技術だったりするわけです。それに材料開発では、材料の特性のデータなどを何年にもわたって取り続けた結果が技術開発の競争力だったりするんですね。
一般にモノ作りは開発を開始してから結果が返ってくるまでスパンが長いので、技術のサイクルを回すのが遅く、エンジニアが育つのにも長い時間が必要だったりします。
そういった環境では、会社にとって安易に転職されるのも困るし、技術者としての成長にも繋がらないわけです。

一方で、シリコンバレーのエンジニアは大部分がソフトウェアエンジニアです。ソフトウェアは、技術を身につけるのに3年もあれば十分ですし、開発環境は標準化されてます。なので、会社が変わっても自分の技術力がリセットされるということはなく、より面白い会社、より待遇のいい会社へと転職しやすいのだと思います。
プログラムは実行すればすぐに結果が返ってくるので、技術のサイクルを回しやすく、割と早くエンジニアも技術も育つんですね。

かように同じエンジニアといっても、ジャンルによって人生観はかなり異なるわけです。終身雇用か、成果主義かという議論も、このような個々のキャリアの特質も考えないと意味がないんですよね。

ちなみに自分の仕事の半導体回路設計は、ソフトウェアとものづくりの中間くらいの立ち位置です。仕事自体はコンピュータのCAD上で行うし開発環境もかなり標準化されているのですが、最終的にはモノとなって返って来るで、ソフトウェアほど技術サイクルは早くありません。
一通り身につくまで5年ってところですかねぇ・・・どうでしょう?

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