« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »

2009年1月18日 (日)

エンジニアのキャリア観の違い

よく行っている技術者勉強会のテクノ未来塾は、それなりに名をなした技術者がよく講演に来ます。
この前講演に来た人は中小企業の社長で、論文発表200件とかいうたたき上げの技術者です。
こういう中小企業の技術系経営者は、
「エンジニアというものはひとつの職場で10年、20年とじっくり育っていくものだ。ちょっと職場がイヤになったからといってすぐ転職などという風潮を一部のブローカーが作っているのは実に嘆かわしい」
という立場の人が割と多いです。

一方で、渡辺千賀さんのシリコンバレーエンジニア紹介コラム(http://www.pasonatech.co.jp/hatarake_sv/index.jsp)で紹介されている人は、
「ひとつの会社で3年いれば、大方のことは吸収できる。自分をさらに行かせる職場へ転職し、新しいチャレンジを繰り返すことで成長していくことが大事だ」
というキャリア観の人が多いですね。

渡辺千賀さんのコラムは人材紹介サイトに掲載されているということは割り引いたとしても、同じエンジニアでなんでこうも違うんでしょうね?
自分は、中小企業のオヤジは頭が古くて時代遅れだから・・・というわけではないと思います。

日本の技術系中小企業というのは、モノ作りの会社が多いんですね。上のような主張をするおじさんというのは、鉄鋼材料や精密機械など、職人的なノウハウを要求するような仕事に携わっている人が多いです。この場合、技術を身につけるのに何年もかかるし、その技術も装置の癖も含めた会社固有の技術だったりするわけです。それに材料開発では、材料の特性のデータなどを何年にもわたって取り続けた結果が技術開発の競争力だったりするんですね。
一般にモノ作りは開発を開始してから結果が返ってくるまでスパンが長いので、技術のサイクルを回すのが遅く、エンジニアが育つのにも長い時間が必要だったりします。
そういった環境では、会社にとって安易に転職されるのも困るし、技術者としての成長にも繋がらないわけです。

一方で、シリコンバレーのエンジニアは大部分がソフトウェアエンジニアです。ソフトウェアは、技術を身につけるのに3年もあれば十分ですし、開発環境は標準化されてます。なので、会社が変わっても自分の技術力がリセットされるということはなく、より面白い会社、より待遇のいい会社へと転職しやすいのだと思います。
プログラムは実行すればすぐに結果が返ってくるので、技術のサイクルを回しやすく、割と早くエンジニアも技術も育つんですね。

かように同じエンジニアといっても、ジャンルによって人生観はかなり異なるわけです。終身雇用か、成果主義かという議論も、このような個々のキャリアの特質も考えないと意味がないんですよね。

ちなみに自分の仕事の半導体回路設計は、ソフトウェアとものづくりの中間くらいの立ち位置です。仕事自体はコンピュータのCAD上で行うし開発環境もかなり標準化されているのですが、最終的にはモノとなって返って来るで、ソフトウェアほど技術サイクルは早くありません。
一通り身につくまで5年ってところですかねぇ・・・どうでしょう?

| | コメント (0) | トラックバック (0)

早稲田ビジネススクール大滝令嗣氏と「音力発電」速水浩平氏の講演

テクノ未来塾のセミナーを新年早々受けてきました。

・早稲田ビジネススクール 大滝令嗣氏「グローバル時代の日本人エンジニアの役割」

東北大学工学部から、カリフォルニア大学サンディエゴ校でPh.Dをとり、東芝で半導体の研究をした後、人事・組織コンサルタントに転じてシンガポール経済開発庁のボードメンバーの経験もあるという面白い経歴の方です。

 コンサルタントの方らしく、講演では戦略シナリオの重要性をおっしゃっていて、カリフォルニアワインの普及戦略や日本の金融業の10年後を題材にして戦略マップについて解説してました。演習で「日本の製造業の10年後」を題材に戦略マップを作りました。縦軸に人材の質、横軸に製造コストをとって作ってみましたが、うまくできたでしょうかね・・。

 後半は企業の開発競争がグローバルになった現在、日本の企業やエンジニアはどうあるべきかという話になりました。日本の企業の問題点は、多国籍企業のマネジメントが不十分であるということでした。企業の国際化は、インターナショナル→マルチナショナル→グローバル→トランスナショナルと進んでいくということで、グローバル以上のマネジメント能力は、欧米企業のほうが優れているということでした。日本が国際的に評価されているのはエンジニアリングの力であるということで、日本のエンジニアは経営の力をつけて「グローバルスーパーエンジニア」として「後部座席から、運転席に移って」リーダーシップをとるべきだというお話でした。

 どちらかというと大企業の国際競争を念頭に置いたお話であり、激しい国際競争の中でぱっとしない半導体業界に身をおくものとして、大滝氏のお話は共感できるものがありました。

 ただ、マネジメントになると、どうしても技術の現場からは遠くなるもので、大滝氏のおっしゃるのは「スーパーエンジニア」というより、「エンジニア出身の優秀な経営者」が望ましいということじゃないのかなーとちらと思いました。

 それと、最初のほうで資源のない小国という意味で日本と似ているシンガポールについて述べられていて興味深かったのですが、

・どうしてシンガポールは強烈な監視社会にする必要があったのか

・シンガポールの優れた国家運営戦略はリー・クアン・ユーのある種の独裁政治の効果が大きいと思うが、日本の国家運営能力を高めるにはどうしたらいいのか

という疑問は聞けずじまいでした。機会があったら聞いてみたいと思います。

音力発電 速水浩平社長 「研究開発から社会インフラに貢献する実践へ」

去年12月に渋谷ハチ公前で、「発電床」の実証実験があったのをご記憶にある方もいると思います。

渋谷・ハチ公前に埋め込み型「発電床」-通行人の振動で発電(シブヤ経済新聞)

踏むと振動で発電できるというもので、僕も喜んで踏んでました・・。

この「発電床」を開発したのが、大学発ベンチャーの「音力発電」の創業社長の速水浩平氏で、現在慶応大学の博士一年の学生です。

講演では、「音力発電」で開発している振動発電技術や音力発電技術を紹介くださいました。音力発電技術のプロトタイプは氏が大学4年のときに開発し、修士1年のときに会社を作り、現在では複数の大手企業、公的機関と共同プロジェクトをしており、たとえば首都高の五色桜大橋に取り付けられ、イルミネーションの動作電力の一部として利用されているそうです。

ディスカッションの時間が長めにとってあり、いろいろな企業の技術者とのディスカッションが非常に面白かったです。

聞いた話をかいつまんで記すと、

・音力発電のアイデアは、小学校のころから温めていた。

・会社を作ることは、高校時代から考えていた。

・音で発電することは、効率が悪くて実現性が低いということが定説であったが、開発を進めて効率改善することで定説を覆し、企業の技術者の見かたを変えることが出来た。

・最初から、わかりにくい技術をわかりやすい形で見せることに心を砕いた。技術をどのように商品化するかということも考え抜いた。

・ビジネスとするにあたって、人とのコミュニケーション、ネットワーク構築を重視した。

・会社は総勢5人と小さいが、様々な会社と協力関係を結ぶことで無理なく事業を進められるようにしている。

・会社は研究開発型ベンチャーとしてやっている。振動発電機はブラックボックスとして非公開。試作もパーツごとに別会社に出している。振動板やストッパーなどノウハウの部分も多いので、リバースエンジニアリングをされてもそう簡単にまねできないと考えている。

・契約が対等なら大企業が有利なので、知財に関してはベンチャー側に有利な条件にしてもらっている。

・首都高全体に振動発電機を設置すると、現在の発電効率のもので火力発電所2~3基分の試算になる。

・不要なエネルギー放射である「振動」を利用するので究極のエコ。部材のリサイクルプロセスも考慮している。

・振動エネルギーを電気に変えるので、免震やダンパーといった用途にも使える。

・難民キャンプなど、発電施設のないところでの人道支援にも使ってみたい

ベテラン技術者のどんな質問も具体的な数字を挙げて答えるところに、自分の事業に対して多方面から徹底的に検討していることが伺えました。

ブレークスルーをできる優れた研究開発能力といい、ベンチャーを無理なく運営するマネジメント能力といい、人の話をよく聞きつつ自分の意見を反映させるコミュニケーション能力といい、ビジョンの大きさといい、ビジネスプランニング能力といい、24~25歳の学生がここまでの能力を身につけられるものなのかと、刺激を超えてショックを受けました。

いやー、世の中には、すごいやつもいるものですねえ・・。

世界のどこに出しても通用するという点では、まさに大滝氏のおっしゃる「グローバルスーパーエンジニア」ではないかと思います。

速水さんには是非世界を舞台に活躍して欲しいと思います。

教授の名前を借りて、技術先行でビジネスさっぱりという大学発ベンチャーも多い中、技術とビジネスが高い水準でバランスしている速水氏の「音力発電」はとても有望なベンチャーだと思います。とても期待しているので、是非がんばって欲しいです!

| | コメント (0) | トラックバック (2)

2009年1月14日 (水)

読書メーター

みなさん明けましておめでとうございます。

やはりブログ更新はサボりがちな私ですが、よろしくお願いします。

どうやったら、ブログをコンスタントに更新し続けられるかという悩みはブロガーのみなさんの多くがもっているみたいで、crema designさんがtwitterで相談したら多くの回答が寄せられたようです。

自分の場合は、mixiをやってからめっきり減ってしまいましたね・・。どうも、身近な友人と連絡がとれちゃうと、それで満足してしまうようです。

それはさておき本題ですが、日和見日記さんが、読書をWeb上にメモるツールとして読書メーターを紹介してました。

自分も、読んだ本はブログで紹介したいなあと思いつつ、めんどくさくて全然やれてないんですよね・・。

こういうツールを利用して、ちょっとメモっておこうと思います。

| | コメント (0) | トラックバック (1)

« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »