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2006年9月28日 (木)

REITIの研究員が語る日本の半導体業界

REITI(経済産業研究所)のファカルティフェローの中馬さんの、「日本の半導体メーカーの競争力低下要因と今後の対策とは」と題するインタビュー記事を見つけました。

http://www.rieti.go.jp/jp/special/af/024.html

彼も、以前紹介した一橋の新藤レポートと同じく、半導体業界の低迷は経営と組織の問題であるといっております。

曰く、今の半導体メーカーは、マーケットと技術の複雑さの増大についていけていない。

グローバル化や豊かさによってマーケットが再分化、専門化して複雑になっているのに半導体メーカーは時代を読む力が足りない。さらに、製品を具現化するためのテクノロジーも微細化に伴って飛躍的に専門化、細分化し、さらにそれらを統合的な視点から判断しなくてはならないが、これらを的確に処理できない。

すべての情報を網羅して経営できる人間は存在しないので、個々の知識をネットワーク化し、その上に更に抽象度の高い統合的な知識を構築できるようなシステムが必要である。

また、一社だけですべてまかなうのが難しくなってくるので、必要に応じて他社とのアライアンスも組むべきで、その場合は流出してはならないノウハウ・知識をブラックボックス化してモジュール的に活用できるような仕組みが必要である。

大まかにいうと、こんなことをおっしゃっています。今はやりの「オープンイノベーション」に基づいた考え方で、興味深い指摘だと思います。

ただ、現場にいるものに言わせると、半導体メーカーの不振の大きな原因はこんな高尚なことより前に、経営者がリスクの取れないサラリーマンだから、というほうが大きいと思います。経営をドラスティックに変えなくてはならないのは分かってても、それに伴う一時的な売り上げ減のリスクは先送りしたい・・そんな心理の方が、大きな問題だと思います。

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2006年9月22日 (金)

悩む年頃

昨日、会社を辞める先輩2人と飲みました。
一人はアメリカに渡って現地の会社に転職、一人はベンチャーに転職ということでした。
二人に共通しているのは、半導体デバイス技術者というキャリアの行き詰まり感です。これから日本にはデバイス技術者の需要が少なくなるので、競争が厳しくなるだろうと。その前に少しでも自分に付加価値をつけたいという感じでした。

 自分も就職するころからなんとなく転職は意識してたので、なんだか追い越された気分になりましたw。でも、自分の場合は技術的にまだまだ吸収しなくちゃいけない時期なんですね。話を聞いて、再度留学にチャレンジしてもいいかなーと思ったんですけど、ある程度技術力がつかないと留学しても得るものは少ないというのと、社費留学後に転職というのは前例がありすぎるために厳しく言われるだろうし後ろめたいなーと。ハイテクの世界の先進地はやっぱシリコンバレーだし、どんな雰囲気で今、どんなことを考えている奴らがいるのか、知りたいけどなー・・うーん。

あと、ベンチャーにチャレンジしてみたいという気持ちもあって、それは既存の大手半導体メーカーのビジネスモデルに限界を感じているというのが大きな理由です。そして日系半導体メーカーは大概家電会社の1部門だったり総合電機の系列だったりするのですが、そのせいでしがらみが多く、そう簡単に体質は変わらないだろうし、自分がある程度会社のビジネスを切り回せる幹部職になるのは10年以上先で、それまで会社の方がどうなっているかわからないし、自分もそのときしがらみにとらわれずに判断できるかは自信がないし。一方で日本は経営はへたくそだけど、優秀な半導体技術者はたくさんいるというのが通説です。なので、時代にマッチしたちゃんとしたビジネスモデルを立てていい技術者集めれば、まだまだいけるんじゃないの?と。そして新しいビジネスモデルってのは1から立ち上げたほうが手っ取り早いんじゃないだろうかなーという感覚があるのです。そんなベンチャーを立ち上げてもいいし、いいベンチャーがあったら入って一緒にやってみたいなーというのもある。でも、それにしても自分にちゃんとした技術力がないとベンチャーなんて不安でしょうがないですよね。そして、ビジネスの目利きというか、どんな商売がこれからいけるのか、という判断力を磨くというのは技術力とはまた別の視点で身に付けなくてはならんと思うわけです。それで日産財団のプログラムに参加したりしてるわけです。
ただ、新しいことにチャレンジするなら、体力があってしがらみのない若い方がいい。それと実力とのバランスをどの辺で考えて次の手を打とうかなー・・。
先に決断した先輩の話を聞きながら考えてしまったのでした。

「ま、ちぶぞうはまだしばらく会社にいたほういいな」といわれちゃいましたがwww

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2006年9月13日 (水)

戦略的社費留学制度のすすめ

大手メーカーでは、社員を海外に社費留学させる制度があるところが多いと思います。

自分の勤務する会社にも、社費留学制度があります。

しかし、あまり効率的に運用されているように見えないんですね。

社費留学までのプロセスは、希望者が立候補して、事業部長がその中から推薦者を決め、人事に上げて審査するという形です。そして、合格者は、留学する研究室を自分で決定して1~2年留学します。

要は、行きたい人が行きたいところに行く制度なんですね。社員を一人アメリカ西海岸の大学に技術留学させると、留学先の研究室への援助金、住宅費、生活費などで、1000万は下らない費用がかかるといわれます。MBAならもっとですね。それだけのお金を投資しながら、そこには会社としての戦略がまるで見えません。成果も厳しく問われることがないので、バケーション感覚で行く人もいます。挙句の果てに留学後すぐに転職された日には、投資金額が丸損になりかねません。

やはり、「行きたい人を行きたいところに行かせる」のではなく、会社として「行かせたい人を行かせたいところに行かせる」観点が必要なのです。会社の戦略として強化したい分野、市場があるはずであり、それに沿った人材と留学先を決める必要があります。次世代デバイスのシーズを探索したいのか、ソフトウェア技術を強化したいのか、目的によって選ぶ研究機関は違うはずですし、市場としてアジアを狙うのなら、中国やインドの大学に多く人を送るということも選択肢に入るはずです。また、留学する人にとっても、自分のミッションが明確なら、留学の効果もより高まると思います。帰国後は、留学で何を得て、これから仕事にどのように生かしていくのか、投資してくれた経営陣の前でプレゼンする義務があると思います。そして、その後数年間の仕事の成果は、人事にトレースされるべきだと思います。現状は、そのあたりの投資に対するリターンの見極めが甘いといわざるを得ません。

最後に、留学後の転職リスクですが、これについては、帰国後数年以内に退職の際は、留学費用を返還するという念書を書かせて対処する会社も多いと思いますが、職業の自由がある以上、根本解決になっているとは思えません。これはやはり、留学した人材に対して、その能力に見合う魅力のある職場を提供する以外、解決の道はないでしょう。

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2006年9月 7日 (木)

戦略思考の視点から見たNECの混迷の本質

一橋大学の新藤先生という方が、日本の半導体産業の低迷をNECの半導体事業を事例にとって述べた論文を知り合いに教えてもらいました。

「半導体産業のパラダイムシフトとイノベーションの停滞―戦略思考の視点から見たNECの混迷の本質」一橋大学イノべーション研究センター

これによると、NECでは旧来の思考様式や制度に基づく戦略やビジネスモデルにとらわれ、市場のパラダイムシフトに対応できないのが低迷の原因であるということです。

具体的には、デパートメント型から専門店型へ、付加価値のハードからソフトへの移行、売れ筋市場のASICからASSPへの移行、市場のグローバル化などについてこれなくなったということです。これは、ファブレス市場シェア、アジア市場シェアなどとNECの市場シェアが-1に近い負の相関係数をもっていることからデータ上もはっきりしています。

これらを克服する提案として、組織学習をダブルループ学習、つまり創造的破壊を起こす学習に転換すべきだと書いています。

詳細は、レポートをご覧になってください。

これらの主張は、日経マイクロデバイスなどの業界紙にも似たようなことが書かれていて、目新しさはないという意見を周りの人からもらいましたが、自分としては、日ごろ感じていることをうまくまとめているなあと感じました。この構造は、NECだけではなく、大手半導体メーカーに多かれ少なかれ似たようなものがあると思います。これだけ詳細にまとめたレポートがただで手に入るところが、ネット時代さまさまですね。

でも、逆にこの程度のことは、大手メーカーの幹部も散々指摘されてみな認識しているはずなのですが、分かっているのに変えられない、というところに問題の根深さを感じます。

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