« 半導体の確率統計2:代表的な分布2 | トップページ | アナログCMOS回路設計の現場 »

2006年5月21日 (日)

半導体の確率統計3:代表的な分布3

今回は、連続型分布のうち、工業製品の寿命分布を表す際に重要な3つの分布を説明します。

2-2)指数分布(exponential distribution)

λを定数として、指数分布の確率密度関数は次のように表せます。

Exp_dis

ここで、λを故障率、xを時間とすると、故障率が一定の場合の工業製品の寿命分布に適用できます。さまざまなλに対するf(x)のグラフは次のようになります。

Exp_graph_1

x=0でf(x) は最大値をとります。このx=0(時間0つまり出荷直後)付近での製品不良を初期不良と呼びます。

この指数分布に当てはまる事象は、故障率一定の場合の製品寿命や偶発故障までの待ち時間のほか、偶発的な災害までの年数も当てはまるといわれています。つまり、大地震や原発事故などは、地球上のどこかで2日連続で起きても理論上は不思議ではないともいえます。

2-3)ワイブル分布(Weibul distribution)

ワイブル分布の確率密度関数は、定数α,βを用いて次のように表せます。

Weibul_1

これは、故障率が時間と共に変化する場合の製品寿命に適用でき、m=1の場合が指数分布に一致します。αを形状パラメータ、βを尺度パラメータと呼び、パラメータを変化させることによってさまざまなデータを近似できます。半導体の場合でも、TDDB(酸化膜経時破壊)の信頼性予測に一般的に適用され、その他の信頼性予測にも広く活用される重要な分布です。

β=1の時のワイブル分布のグラフは下のようになります。

Weibul_graph

α=5のとき、f(x)が1を超えています。これは、データをワイブルプロットで近似するときにα、βの選び方に注意が必要なことを示しています。

2-4)対数正規分布(log-normal distribution)

非常に長い時間の単位で生じるランダムな事象の場合、時間の対数を横軸にすると正規分布に従う場合があります。この場合は、対数正規分布を適用します。その確率密度変数は以下のようになります。

Log_nomal_1

期待値Eはexp(μ+σ^2/2)、

分散Vはexp(2μ+2σ^2)-exp(2μ+σ^2)

です。

これは、半導体ではエレクトロマイグレーションに起因する寿命分布を近似する場合によく使用されます。E=1の時の対数正規分布のグラフを下に示します。

Log_nomal_graph

他にもたくさんの分布関数がありますが、半導体で使用する主な確率分布は以上のものです。これらを、予測したい事象によって使い分けることになります。大まかな用途としては、品質管理と信頼性予測があげられます。次からは、それらを簡単に紹介したいと思います。

|

« 半導体の確率統計2:代表的な分布2 | トップページ | アナログCMOS回路設計の現場 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/75660/1886976

この記事へのトラックバック一覧です: 半導体の確率統計3:代表的な分布3:

« 半導体の確率統計2:代表的な分布2 | トップページ | アナログCMOS回路設計の現場 »