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2006年5月10日 (水)

どうして僕は技術者を志したか

毎日新聞には、理系白書なる長寿企画がある。ご存知の方も多いと思うけど、理科系の人材はこの国ではどのように処遇されているか、これからも技術立国するにはどうしたらいいか、というあたりを取材した企画なんだけど、この企画を読んでると、技術者ってのはつくづく不遇なのね・・っていう気分になってくる。

僭越ながら、現役で技術者やってる私めに言わせるとですね、何が問題って、やっぱ給料が低いの一言に尽きますわよ。学生時代には「金よりやりがい!」と熱く語って技術の世界に入ってくるわけですよ。でも、文系の友達と会うと、給料がおいらのほぼ2倍だったりするのですよ。別においらの倍の時間働いているわけじゃないですからね。やっぱりなんか萎えますよ。それに、優秀な技術者が必ずしも出世するとは限らないんですね。優秀な技術者は往々にして我が強いので、技術での功績とマネジメントは別、みたいなノリで、ナニナニプロフェッショナルとか、技監とかいうポストに祭り上げられて、実質は出世コースから外されちゃったりするんですね。

 なーんだ、技術を一生懸命頑張っても結局この程度の待遇かい、と思うと、学生がメーカーを敬遠するのも分からなくもないです。

 そして、世間でよく誤解されるのは、技術系ってのは好きな事やってるんだから、少々安月給で待遇悪くても我慢できるんでしょ?っていうことです。おいおい、理系人間をそんな浮世離れした変人と誤解しないでください!仕事は趣味と違うんですから!あくまで組織のための”仕事”ですからね!それは営業の人に向かって「あんた営業が好きなんだから給料安くても我慢しろ!」っていうのと同じくらいの理不尽さです。

じゃ、そんな不遇な技術者に自分はなんでなったのか。

しかも、高校時代も得意教科は国語と英語で、数学が一番の苦手科目だったんです。そもそもなぜ理系?という感じですが。

それは一言でいうと、科学と技術への憧れがあったからです。

子供のころから雑誌のニュートンなんかが好きで、宇宙の向こう側とか、素粒子の極限とか、だれも行ったことのない未知の世界について考えるのが好きでした。そして、ロボットとか、コンピュータとか、未来を拓くような最先端技術への憧れをもったのでした。

院生時代はこれまた研究がさっぱり面白くなく、(俺って研究向いてない)と思ったのですが、将来の職業を考える時期に来たとき、やっぱり、ウォークマンや、マイクロプロセッサのように人の価値観や生活スタイルを変えてしまうような画期的なモノ作り、技術開発への憧れを捨てきれなかったんですね。

なので、会社を選ぶときも、業績より、最先端技術を開発できるかどうかを基準にしました。

そこで思ったのは、若者の理系離れを食い止めるのは、1にも2にも科学や技術への憧れを喚起させることじゃないかなーと思います。僕が小さい頃は、鉄腕アトムもあったし、どらえもんとか21エモンとか、とかく漫画で科学技術への憧れを植えつけられました。今はマンガもアニメも科学賞賛一辺倒ではないですからね・・。

そして、安月給を身に沁みて味わっている今、何をモチベーションにして技術者やっているかというと・・・・・一言でいうとですね。

自分の夢には2つあって、ひとつはやっぱり日本の半導体業界の活性化に結びつくくらい事業を成功させてみたい。ホリエモンだかヒルズだかしんないですけど、金融が一番手っ取り早く儲かるねーというのは事実なのですが、結局、経済の足腰を作っているのは実業です。あえて実業にこだわって成功例を作ってみたい。

もうひとつは、脳型コンピュータの実現ですね。これはかなり壮大な夢ですけど、実現すれば、IT革命よりさらに大きな社会変化を引き起こすと思います。現在のノイマン型アーキテクチャと脳型アーキテクチャでは、演算の仕組みがまったくちがうので、半導体デバイスのレベルから考え直さないと本当の意味での脳型コンピュータはできないと思うんですよね。これはどちらかというと、自分が一線の研究者としてやりたいというより、実用化につなぐ役目をやってみたいという感じですかね。

どちらも身に余る夢といえばそのとおりなんですけど、こんくらいのこと考えてなければ、技術者なんてやってられませんて!

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コメント

>若者の理系離れを食い止めるのは、1にも2にも科学や技術への憧れを喚起させることじゃないかなーと思います

ほんとにそう思います!!
科学ってとってもオモシロイのに、日本の教育って間違ってるよね。
そういうワタシも科学のオモシロさはオトナになってからわかりましたもん。
この世界はすべて科学が地盤だっていってもいいのに。

投稿: るん♪ | 2006年5月11日 (木) 01時19分

>るんさん
コメントありがとうございます。
科学立国といって、数学理科の授業時間を削るのはなんでですかね。
それより、科学への憧れを植えつけるのは大切ですよねー。
僕は絶対学研シリーズと漫画に洗脳されましたよw

投稿: ちぶさん | 2006年5月12日 (金) 00時18分

>世間でよく誤解されるのは、技術系ってのは
>好きな事やってるんだから、少々安月給で
>待遇悪くても我慢できるんでしょ?
ああ....それは私も思っていましたごめんなさい。"好きなことが仕事になっている"というのが羨ましいのです。その責任や、待遇にまで思い至れないんですよね。

るん♪さんのところにも書きましたが、「子供への教育関係のことを決めるお役所のえらいさんたちが皆文系」なことが、科学教育を妨げる要因になっているとオットくんがよく言っています。

投稿: あひる | 2006年5月12日 (金) 23時10分

>あひるさん
本当に好きなことを仕事にしている技術系なんて、ごく一部の研究者とかですって。
あとは、食っていくために就職しているんであって、大学で勉強した専門知識を生かそうと思うと技術系の仕事になるっていう人が大多数だと思いますよ。そう考えると、理系の専門教育って金かかるのに、なんでこんなに見返り少ないんですかね。はー・・

役所の文系支配も困ったもんですよね。もっと理科系の優秀な人材を登用しましょう。

投稿: ちぶさん | 2006年5月13日 (土) 13時31分

はじめまして。「理系白書ブログ」管理人の元村です。

ほんと!そうだ!と力強くうなづきながら拝読しました。
教えない学習指導要領を強制しながら「理科離れ」を嘆き、理科離れを嘆きながら「文尊理卑」社会を黙認する。
なんてことでしょう。
変えていくのは、それに発奮して社会を変えていく一人一人です。
これからもどうぞよろしく。
そうそう、理系白書の本編はいま、技術やものづくりをめぐるアジアと日本の攻防を扱っています。そちらもどうぞご覧ください。

投稿: 元村有希子 | 2006年5月15日 (月) 22時23分

>元村有希子さん
わわ!理系白書ブログの元村さんからじきじきにコメントが!
はじめまして!コメントありがとうございます。
理系白書は大学の先輩が取材されていたときもあり、ずっと興味深く拝見させていただいております。
なんとか、まっとうなビジネスでライブドアなみに注目されるような技術系ベンチャーが出れば、世間の技術者を見る目も変わると思うんですけどね。がんばりますですよ。

投稿: ちぶぞう | 2006年5月16日 (火) 00時02分

非常に共感を覚えました。私も、実業が日本を支えているということに同意します。会社でももう少し経営陣に技術畑、研究畑の人間が入る必要があると思います。企業で指揮をとるにしろ、ベンチャー企業を自分で起こすにしろ、そのためにはまず、私たち理系人間は専門だけではなく会社の経営をしっかり学ぶ必要があると思います。文系にしか経営ができないということはありませんし。これからはある程度専門性を持ち、経済と経営もわかる人間がどんどん必要になると思います。僕はそういう人間になることを目標にしています。お互いがんばりましょう。

投稿: seizy | 2006年5月16日 (火) 12時40分

そうそう。実業が基盤なんであって、証券とかファンドなんてのは、その上澄みで商売してるに過ぎません。まあ、だから稼げるんですがネ。

メーカーでは、実は技術出身の経営陣はとても多いのです。しかし、そういった人が経営とかマネージングの訓練を殆ど受けてないのが問題なんですね。だから大手電機は戦略らしい戦略がないところが多かった。これは、机上で学ぶより、体で学ぶ類のものと思われるので、有望な若手管理職は早く子会社の経営陣にでも出向させて、修羅場で鍛えるようなシステムがほしいですね。

それに、ケーサン省だのザイム省だのソーム省だのの主要官庁!君らには理系のセンスが必要だ。理系人材をぜひ上に登用して日本を引っ張っていただきたい。

投稿: ちぶさん | 2006年5月16日 (火) 23時49分

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会社でまた今日も相変わらずエロに走っちゃったんだけど、毎日そんなエントリじゃサスガにマズイと思う。 なのに、こんなタイトルでゴメンナサイ。 はんどー隊ブログのちぶぞうさんが 「どうして技術者を志したか」 というエントリを書いていました。 理系の技術やさんて、暗いとかオタクとかヘンなイメージもたれがちだし、お給料も割に合わない。 それなのにちぶぞうさんが技術者になったのは 「科学と技術への憧れ」 があったから。 「若者の理系離れを食い止めるのは、1にも2にも科学や技術への憧れを喚... [続きを読む]

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» 科学者の夢 [あひるちゃんがゆく]
るん♪さん(タイトルがイカす★)、ちぶぞうさんの科学に寄せるエントリを読んで、大変共感です。私も生粋の文系人間ではありますがオットくんが科学者(ってかっちょええ響きですねw)なため、このあたりの話はよく耳にします。 そこで思い出したのが数年前の、「バー....... [続きを読む]

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