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2006年5月19日 (金)

「素人が作る原発」の恐怖

最近はマンションの耐震偽装など、住居建築への信頼を揺るがすような事件が多いですねー。

でも、国や大企業が作るような、安全性が最重要みたいな施設はさすがに大丈夫じゃないですか?だって、お金を惜しまずかけて日本の誇る最高の建築技術を惜しみなくつぎ込んで、匠の技で作りこむでしょ?

・・・・・と思っている人が結構多いんじゃないでしょうか。

しかし、そんな「お上」への信頼を根底から突き崩すような事態がよりによって原子力発電所で起こっているという話があります。下の手記です。

「原発がどんなものか知ってほしい」

http://genpatsu_shinsai.at.infoseek.co.jp/hirai/pageall.html

「住民との対話」

http://members.at.infoseek.co.jp/genpatsu_shinsai/hirai2/pageall.html

この手記を書いた平井憲夫氏は、元「原発被曝労働者救済センター」代表で、20年間原子力発電所の建築の現場監督をやっていた方です。97年にすでにお亡くなりになってます。死因は肺がんです。

近年、炉に針金を残したとか、定期検査をしたら傷がいっぱい見つかったとか、しょうもない事故が原発で多いですよね。でも、国はいつでも「放射能漏れなんかしない設計になっているから絶対大丈夫」とか、「地震が起きても原発事故は絶対ない」と常に主張してます。ほんとかなーと思うのは自然ですよね。この疑問に、平井氏は、「安全は机上の話だ」と答えてます。つまり、設計と実際の施工は別問題だと。

電力会社のHPでは、原発の安全設計についてかなり広報してますが、施工に落とし込むときの話はすっぽり抜けてます。きちんと作られているというのが前提です。ここがポイントですね。

かの原発にしても、実際に施工する現場の技能者のレベルは素人並みだと平井氏は言っています。素人が作るので、自分の行為の意味が分からない。工事のマニュアル化がそれを促進している。炉に針金を放置するのがどんな意味を持つのか理解できない・・。

優先される原発の建設現場が、マンション建築の手抜き工事と同レベルであるということを言っています。ここに最も衝撃を受けました。

さらに、検査機関が役人の天下り機関とくると当然、検査官は素人の役人で、書類上の形式的な検査で終了と。この辺は想像がつくので、特に驚きませんが、よく考えると、万が一にも事故があっちゃいけない放射能を扱う施設です。こんなところを日本の役所のやることだから・・・なんてスルーすることは実はものすごく怖いことです。

更に、原発は平常運転しているとき、事故などない時は、放射能を外に出さないと思いこんでませんか?僕は思い込んでました。排水、煙突からの水蒸気などで、放射能は排出されてしまうんですね。電力会社は基準値以下だから大丈夫、といいますが、他の地域より放射能レベルが高くなるだろうし、放射能は体内に蓄積されます。

また、原発というものは内部で働く人の安全性は最大限考慮されていて、普通に働く分には問題ないのだと思い込んでました。これもまったくの思い込みのようですね。定期点検のときの生々しい状況が書かれています。

ボルトをネジで締めながら、もう10分は過ぎたかな、15分は過ぎたかなと、頭はそっちの方にばかり行きます。アラームメーターが鳴るのが怖いですから。アラームメーターというのはビーッととんでもない音がしますので、初めての人はその音が鳴ると、顔から血の気が引くくらい怖いものです。これは経験した者でないと分かりません。ビーッと鳴ると、レントゲンなら何十枚もいっぺんに写したくらいの放射線の量に当たります。

定検に当たる人も、普段農業や漁業をしているような素人の人たちだそうです・・。

つまり、通常運転時も原発は放射能を振りまいて運転しているようなもんなんですね。うひゃー・・・。

美浜原発や、もんじゅの事故がどのような意味だったのかも書かれています。実は、ちょっと間違えるとチェルノブイリになりかねない事故だったようです。

そして、老朽化した原発の保守をどのようにするかという問題。取り壊すにしても、大量の放射能が問題となって簡単には出来ない。閉鎖するにしても、水を延々循環させ、その間ずっと保守しつづけなければならない。そして、今、耐用年数が10年といわれた原発が30年間稼動し続けているということです。

そして大量の放射性廃棄物の問題。これも何百年、いや、人間が居る限り未来永劫管理し続けなければならないかもしれません。

原発問題の本質は、一回稼動させると、その影響が遠い未来まで長期間及ぶということですよね。今、「絶対安全!」「絶対管理します!」なんつっても、ウン百年後にはどうなるかなんて誰も知りませんからね。人間のやることに絶対はないし、旧ソ連みたいになっちゃえば、古代の原発の管理なんて誰もしなくなっちゃいますよ。でもプルトニウムの半減期はウン万年ですからね。その間一回でもしくじれば、人類は破滅しかねません。

そんな先じゃなくても原子力工学の人気低下による人材不足はもう深刻な問題です。でも、自分だって好き好んで、放射能を浴び続けるような研究なんてしたいと思わないですからね。大前研一も原子力工学から方向転換して経営コンサルタントになったわけで・・・。これも答えは出そうにないです。

国と電力会社は、原発の本質について隠蔽し続けていると指摘しています。耐震偽装の問題などみるにつけ、この原発の実態が本当だったら、さもありなんという気がします。

原発問題は、日本の科学教育、科学技術行政、大企業と国の体質など、この国の問題点が凝縮されています。みなさんもこの手記にぜひ目を通して考えてみてください。

故平井氏は、大地震が来たら、原発事故は絶対に起こるとおっしゃってます。

一方からの見方なのは承知してますが、説得力がありすぎてものすごく怖くなりました。

少なくとも、これ以上の増設は勘弁してほしい。

#追記

反論サイトを見つけました。テキストはzipファイルになっちゃってますが。

Re:原発がどんなものか知ってほしい
http://www.faireal.net/articles/6/12/#d20903

両方を読むと、ある程度中立的な立場で考えることができそうです。

確かに、平井氏が自分の経験ではなく、推測で書いているところは、事実誤認も多いかもしれません。

しかし、繰り返しますが、原発問題の本質は、現在の便利さと引き換えにリスクを次世代へ先送りするということだと思います。「今」、放射性廃棄物の管理をどんなに厳重にしても、増え続ける廃棄物を3百年後まで本当に管理しきれるといえるのかどうか。原発を増やすということは、確実に未来へのリスク要因を増やしていくことになります。

確かに日本には資源は少ないし、電力需要もどんどん増えています。

しかし、原発は「必要悪」という認識をしっかり持って、安易な増設は決してしてほしくないです。現在の便利さを引き換えにしても。

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コメント

原発は安全だと思い込んでました。
いくら設計がしっかりしていても作るときにいい加減にしては元も子もないですね。
しかし、今使っている電力の何分の1かは原発によるものだという事実を考えると複雑な気持ちです。実際に原発を作ったのは国や電力会社だとしても。

投稿: keisi | 2006年5月20日 (土) 22時22分

>keisiさん
はじめまして!コメントありがとうございます。
平井氏の手記は100%事実ではないにしても、少なくとも彼が現場で経験した部分の記述は真実だと思います。
だから、原発の安全性も国や電力会社が言うほど絶対安全とは言い切れないということですね。
もちろん、今の電力供給の大きな部分を原発が担っているので、いきなり原発を止めるというのはナンセンスだと思います。
ただ、増設に関しては原則ゼロの方向で検討してほしいと思います。

投稿: ちぶぞう | 2006年5月21日 (日) 00時50分

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