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2006年5月29日 (月)

ス○ーのヤフオクが10万円突破!!

全然半導体と関係ない話題ですいません・・(^ ω^;)

今、ネットで熱い話題となっている「おかあさんといっしょ」の歌のお姉さんが描いたスプーがフィギュアとなってヤフオクに出ております。

スプーとは、「おかあさんといっしょ」の10代目人形劇「ぐ~チョコランタン」の中のキャラクターで、下のような姿をしております。

Supoo_1 (NHKのHPより)

これをしっかり目に焼き付けてから、下の「スプーの絵描き歌」を楽しんでください。

ええええ!!???しょうこお姉さん、なんか別の宇宙から来た生き物なんですけど????歌のお兄さんのリアクションと「画伯・・・」というコメントにも笑えます。

そして、早速この「しょうこお姉さんのスプー」を立体造形にした職人さんがおり、ヤフオクに出展の運びとなりました。

http://page6.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/f43099180

凄く良く出来ています。これが2chの各種板で話題になったようで、値段が高騰しています。5/29 2:20段階で、150,000円の値段がつきましたwwww

この出品のQ&Aのやりとりもとても面白く、「生協の白石さん」状態になっております。

久しぶりにいいネタを見たなー。

#追記

落札価格は、7億円となりますた。

VIPPERたちのおかげで、お値段もスプー並みに育ちましたとさ。

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2006年5月28日 (日)

アナログCMOS回路設計の現場

まだ本格的なアナログCMOS回路設計に入って1年にも満たない未熟者の私ですが、イロイロと感じたことがあるので、今回はそれを書いてみたいと思います。

アナログCMOS回路設計という分野は現在脚光を浴びていて、業界紙のコラムでよく取り上げられていたりします。

どこでも足りないアナログ技術者(NEブログ)

日米ともに人材不足の分野とは(NEブログ)

アナログ回路設計が脚光を浴びている理由には二つあり、一つは、機器のデジタル化が進展する中で、逆にアナログ回路の性能が製品の性能を左右することが多くなったこと。もう一つは、アナログ回路設計者の人材不足です。

なぜ人材不足になっちゃったかというと、

1)世の中がデジタル技術にシフトする中で、大量の人材をデジタル技術者のほうにシフトさせ、アナログ技術者育成はなおざりになったこと。

2)デジタルシステムの中で使用するアナログ技術は、昔のアナログ技術と少し異なっており、古いアナログ技術者では対応しきれないことがある。

1については、デジタル技術を導入する際に、それまでのアナログ技術者を軒並みリストラか配置転換を行ってしまったということがあります。アナログ技術者というのは、デジタル技術者に比べて育成に時間がかかるといわれていて、それがなおのこと人材不足に拍車をかけています。

2)については、今の多くのアナログ回路はCMOS技術に基づいていて、離散時間技術やΔΣ変調のようなデジタル的な要素が混在しているので、伝統的なバイポーラに基づく連続時間型回路とは異なります。なので、単に経験年数だけが取り得のようなベテラン技術者ではついていけない場合が多いのです。

そんなこんなで、アナログ回路は時代遅れのイメージがついて勉強する学生が減る反面、企業の現場では需要が大きくなり、需給ギャップが未だ解消されずという感じになってます。

また、プログラム言語で自動生成できるデジタル回路とは違い、アナログ回路は「アート」であるなどという言われ方をします。これは、シミュレーションなどでは把握しきれない振る舞いもあるため、回路定数の決め方とかレイアウトに個性が出るといわれるためです。そのあたりは、松下産業出身で業界の有名人である松澤昭東工大教授が以下の記事で熱く語っております。

プロの技術者として腕を磨け(EEtimes)

かようにアナログ回路は、個人の能力で勝負することが出来る数少ない舞台であり、それゆえ外資系などでは能力のある人は高給で遇されるそうです。

さて、このようにいいこと尽くめのようなアナログ回路設計ですが、現場では果たしてそのおいしさを実感できるでしょうか。

一言で言うと、そんなに甘くないなーというのが実感です。

上記で述べた人材不足に加えて短納期で多数の製品を作らなくてはならないので、常に長時間労働を強いられます。また、製品トラブルなど突発的な仕事も対応しなくてはならないので、スケジュールが常に不透明というのもあります。

なんだか、SEの職場のようですが・・

それと、アナログ技術独特の問題点としては、アナログ回路を把握するには、自分で考えて、手で計算しながら設計する必要があるのですが、あまりに多くの製品を抱えると、余裕がなくなってついついシミュレーションに頼った設計になってしまいます。シミュレーションは回せばなんらかの値が出てくるのですが、逆に頼りすぎると入力ミスやソフトウェアの癖などで誤った数字が出てきても気づかなくなってしまうという恐れがあります。なによりそういう力任せの設計では技術者として成長が期待出来ません。

また、アナログ設計の経験を積むには試行錯誤が必要なのですが、最近はアナログでも製品一発動作が求められるため、そのような試行錯誤は許されなくなっています。自然と回路設計は保守的になっていき、古い回路アーキテクチャが何代にも渡って使用されることになります。すると、いつの間にか時代の波から取り残され、中長期的にはアナログの技術レベルが低下することにつながってしまいます。また、何も考えずに昔のアーキテクチャを流用することも技術者としての弊害になります。

しかも、社内向けIPの設計というのは、直接売り上げを上げる製品部門と違って、なかなか評価されにくいんですねー。トラブルが起これば真っ先に責められるんですが・・・

なので、高い技術力が期待される割には、設計を丸投げしている事業部門より社内評価が低かったりします。つまり、ボーナスが他の部署に比べて低いんですねー。とほほ。出世や昇進についても特に早いわけでもないです。日向になりにくいというか。

納期に追われ、技術力を磨くのもままならないほどなのに、期待だけされて評価は低いアナログ回路設計者・・・

実態としてはこんな感じだったりします。なんだか損な役回りですね。日系でデジタル重視でやってきている半導体メーカーのアナログの部署は概ねこんな感じなんじゃないでしょうか。

こんなアナログ設計者が高待遇を得る道としては、腕を磨いて外資系に移るとか、アナログを重視したベンチャーに行くとかでしょうかね。でも、上記のような状況で、自分の腕に自信を持てない若手技術者も増えています。なんともかんとも情けないのですが・・。

日系メーカーのトップは軒並み「アナログ技術が大事」みたいなことを言ってますが、実際の技術者の待遇を考えてあげないと、腕の立つほうから辞めていっちゃうんじゃないでしょうか。言葉よりも待遇、「同情するなら金よこせ」ですよ(笑

とはいえ、丸投げが横行する半導体設計で数少ない「設計の実感」を味わえる分野ではあります。これからの不透明な時代、自分の腕で渡っていくんだという気概のある学生には、ぜひ来て欲しいです。

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2006年5月21日 (日)

半導体の確率統計3:代表的な分布3

今回は、連続型分布のうち、工業製品の寿命分布を表す際に重要な3つの分布を説明します。

2-2)指数分布(exponential distribution)

λを定数として、指数分布の確率密度関数は次のように表せます。

Exp_dis

ここで、λを故障率、xを時間とすると、故障率が一定の場合の工業製品の寿命分布に適用できます。さまざまなλに対するf(x)のグラフは次のようになります。

Exp_graph_1

x=0でf(x) は最大値をとります。このx=0(時間0つまり出荷直後)付近での製品不良を初期不良と呼びます。

この指数分布に当てはまる事象は、故障率一定の場合の製品寿命や偶発故障までの待ち時間のほか、偶発的な災害までの年数も当てはまるといわれています。つまり、大地震や原発事故などは、地球上のどこかで2日連続で起きても理論上は不思議ではないともいえます。

2-3)ワイブル分布(Weibul distribution)

ワイブル分布の確率密度関数は、定数α,βを用いて次のように表せます。

Weibul_1

これは、故障率が時間と共に変化する場合の製品寿命に適用でき、m=1の場合が指数分布に一致します。αを形状パラメータ、βを尺度パラメータと呼び、パラメータを変化させることによってさまざまなデータを近似できます。半導体の場合でも、TDDB(酸化膜経時破壊)の信頼性予測に一般的に適用され、その他の信頼性予測にも広く活用される重要な分布です。

β=1の時のワイブル分布のグラフは下のようになります。

Weibul_graph

α=5のとき、f(x)が1を超えています。これは、データをワイブルプロットで近似するときにα、βの選び方に注意が必要なことを示しています。

2-4)対数正規分布(log-normal distribution)

非常に長い時間の単位で生じるランダムな事象の場合、時間の対数を横軸にすると正規分布に従う場合があります。この場合は、対数正規分布を適用します。その確率密度変数は以下のようになります。

Log_nomal_1

期待値Eはexp(μ+σ^2/2)、

分散Vはexp(2μ+2σ^2)-exp(2μ+σ^2)

です。

これは、半導体ではエレクトロマイグレーションに起因する寿命分布を近似する場合によく使用されます。E=1の時の対数正規分布のグラフを下に示します。

Log_nomal_graph

他にもたくさんの分布関数がありますが、半導体で使用する主な確率分布は以上のものです。これらを、予測したい事象によって使い分けることになります。大まかな用途としては、品質管理と信頼性予測があげられます。次からは、それらを簡単に紹介したいと思います。

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2006年5月20日 (土)

半導体の確率統計2:代表的な分布2

2)連続型確率分布

 連続型確率分布は、確率変数xが連続な値をとる分布のことです。

2-1)正規分布

正規分布(normal distribution)またはガウス分布(Gaussian distribution)は代表的な連続型の分布で、自然界や人間界の数多くの事象に当てはまり、統計学の基礎をなす非常に重要な分布です。

正規分布の密度関数は、

Normal

と表せます。ここで、μは平均、σ^2は分散であり、この分布をN(μ、σ^2)と表します。

下に、正規分布N(0,σ^2)についてσ=0.5,1,2のグラフを示します。

Normgraph

ここで特にN(0,1)を標準正規分布と呼び、Z=(x-μ)/σと変数変換を行うことで、すべての正規分布は標準正規分布に帰着可能です。標準正規分布の値は、たいていの確率の教科書の巻末に表としてついています。

正規分布に従う例は、数多く、測定誤差は正規分布に従って生じることから、測定をすれば必ず正規分布が関係します。また、さいころの目の和のようなランダムで独立な事象の和は正規分布に従います(中心極限定理)。

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2006年5月19日 (金)

「素人が作る原発」の恐怖

最近はマンションの耐震偽装など、住居建築への信頼を揺るがすような事件が多いですねー。

でも、国や大企業が作るような、安全性が最重要みたいな施設はさすがに大丈夫じゃないですか?だって、お金を惜しまずかけて日本の誇る最高の建築技術を惜しみなくつぎ込んで、匠の技で作りこむでしょ?

・・・・・と思っている人が結構多いんじゃないでしょうか。

しかし、そんな「お上」への信頼を根底から突き崩すような事態がよりによって原子力発電所で起こっているという話があります。下の手記です。

「原発がどんなものか知ってほしい」

http://genpatsu_shinsai.at.infoseek.co.jp/hirai/pageall.html

「住民との対話」

http://members.at.infoseek.co.jp/genpatsu_shinsai/hirai2/pageall.html

この手記を書いた平井憲夫氏は、元「原発被曝労働者救済センター」代表で、20年間原子力発電所の建築の現場監督をやっていた方です。97年にすでにお亡くなりになってます。死因は肺がんです。

近年、炉に針金を残したとか、定期検査をしたら傷がいっぱい見つかったとか、しょうもない事故が原発で多いですよね。でも、国はいつでも「放射能漏れなんかしない設計になっているから絶対大丈夫」とか、「地震が起きても原発事故は絶対ない」と常に主張してます。ほんとかなーと思うのは自然ですよね。この疑問に、平井氏は、「安全は机上の話だ」と答えてます。つまり、設計と実際の施工は別問題だと。

電力会社のHPでは、原発の安全設計についてかなり広報してますが、施工に落とし込むときの話はすっぽり抜けてます。きちんと作られているというのが前提です。ここがポイントですね。

かの原発にしても、実際に施工する現場の技能者のレベルは素人並みだと平井氏は言っています。素人が作るので、自分の行為の意味が分からない。工事のマニュアル化がそれを促進している。炉に針金を放置するのがどんな意味を持つのか理解できない・・。

優先される原発の建設現場が、マンション建築の手抜き工事と同レベルであるということを言っています。ここに最も衝撃を受けました。

さらに、検査機関が役人の天下り機関とくると当然、検査官は素人の役人で、書類上の形式的な検査で終了と。この辺は想像がつくので、特に驚きませんが、よく考えると、万が一にも事故があっちゃいけない放射能を扱う施設です。こんなところを日本の役所のやることだから・・・なんてスルーすることは実はものすごく怖いことです。

更に、原発は平常運転しているとき、事故などない時は、放射能を外に出さないと思いこんでませんか?僕は思い込んでました。排水、煙突からの水蒸気などで、放射能は排出されてしまうんですね。電力会社は基準値以下だから大丈夫、といいますが、他の地域より放射能レベルが高くなるだろうし、放射能は体内に蓄積されます。

また、原発というものは内部で働く人の安全性は最大限考慮されていて、普通に働く分には問題ないのだと思い込んでました。これもまったくの思い込みのようですね。定期点検のときの生々しい状況が書かれています。

ボルトをネジで締めながら、もう10分は過ぎたかな、15分は過ぎたかなと、頭はそっちの方にばかり行きます。アラームメーターが鳴るのが怖いですから。アラームメーターというのはビーッととんでもない音がしますので、初めての人はその音が鳴ると、顔から血の気が引くくらい怖いものです。これは経験した者でないと分かりません。ビーッと鳴ると、レントゲンなら何十枚もいっぺんに写したくらいの放射線の量に当たります。

定検に当たる人も、普段農業や漁業をしているような素人の人たちだそうです・・。

つまり、通常運転時も原発は放射能を振りまいて運転しているようなもんなんですね。うひゃー・・・。

美浜原発や、もんじゅの事故がどのような意味だったのかも書かれています。実は、ちょっと間違えるとチェルノブイリになりかねない事故だったようです。

そして、老朽化した原発の保守をどのようにするかという問題。取り壊すにしても、大量の放射能が問題となって簡単には出来ない。閉鎖するにしても、水を延々循環させ、その間ずっと保守しつづけなければならない。そして、今、耐用年数が10年といわれた原発が30年間稼動し続けているということです。

そして大量の放射性廃棄物の問題。これも何百年、いや、人間が居る限り未来永劫管理し続けなければならないかもしれません。

原発問題の本質は、一回稼動させると、その影響が遠い未来まで長期間及ぶということですよね。今、「絶対安全!」「絶対管理します!」なんつっても、ウン百年後にはどうなるかなんて誰も知りませんからね。人間のやることに絶対はないし、旧ソ連みたいになっちゃえば、古代の原発の管理なんて誰もしなくなっちゃいますよ。でもプルトニウムの半減期はウン万年ですからね。その間一回でもしくじれば、人類は破滅しかねません。

そんな先じゃなくても原子力工学の人気低下による人材不足はもう深刻な問題です。でも、自分だって好き好んで、放射能を浴び続けるような研究なんてしたいと思わないですからね。大前研一も原子力工学から方向転換して経営コンサルタントになったわけで・・・。これも答えは出そうにないです。

国と電力会社は、原発の本質について隠蔽し続けていると指摘しています。耐震偽装の問題などみるにつけ、この原発の実態が本当だったら、さもありなんという気がします。

原発問題は、日本の科学教育、科学技術行政、大企業と国の体質など、この国の問題点が凝縮されています。みなさんもこの手記にぜひ目を通して考えてみてください。

故平井氏は、大地震が来たら、原発事故は絶対に起こるとおっしゃってます。

一方からの見方なのは承知してますが、説得力がありすぎてものすごく怖くなりました。

少なくとも、これ以上の増設は勘弁してほしい。

#追記

反論サイトを見つけました。テキストはzipファイルになっちゃってますが。

Re:原発がどんなものか知ってほしい
http://www.faireal.net/articles/6/12/#d20903

両方を読むと、ある程度中立的な立場で考えることができそうです。

確かに、平井氏が自分の経験ではなく、推測で書いているところは、事実誤認も多いかもしれません。

しかし、繰り返しますが、原発問題の本質は、現在の便利さと引き換えにリスクを次世代へ先送りするということだと思います。「今」、放射性廃棄物の管理をどんなに厳重にしても、増え続ける廃棄物を3百年後まで本当に管理しきれるといえるのかどうか。原発を増やすということは、確実に未来へのリスク要因を増やしていくことになります。

確かに日本には資源は少ないし、電力需要もどんどん増えています。

しかし、原発は「必要悪」という認識をしっかり持って、安易な増設は決してしてほしくないです。現在の便利さを引き換えにしても。

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2006年5月17日 (水)

ソニーがフラッシュPC発売

ソニーがHDの代わりにフラッシュメモリを搭載したPCを発売するようです。

http://www.asahi.com/digital/pc/TKY200605160495.html

Vaio

携帯オーディオプレーヤーでは、HDからフラッシュへの置き換えが進んでますが、ついにPCにも及んできましたか。

確かに、HDをフラッシュにすれば、衝撃に強いし、低消費電力という利点があるので、携帯型PCにはいいでしょうね。ノートPCももっと薄くできるでしょう。フラッシュの進化とともに、これは必然の流れかもしれません。

市場が大きいパソコンでHDからフラッシュに置き換えが進めば膨大な需要が生まれます。

サムソン、東芝に追い風が吹きますね。日系半導体大手で生き残り筆頭はますます東芝の可能性が高くなったと思います。

日系大手はルネサス系、東芝系、そしてエルピーダの3社体制で十分でしょうね。ここを軸に独自技術で生きるベンチャーが衛星のように生まれれば、もうちょっと半導体業界も活性化しそうです。

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2006年5月15日 (月)

ゲーム見本市E3での三者三様

E3という、ゲームの見本市が5/10~1/12にロサンゼルスでありました。

今、コンピュータゲーム業界といえば、ソニー、任天堂、そしてマイクロソフトの3社を軸に回っているのは言わずもがなですね。E3の期間中に、この3社のトップが次世代ゲーム機の展望についていろいろ語っているのですが、その違いが見事に会社の思想を体現していて面白いです。

まずは、マイクロソフトのビルゲイツ氏。

【E3速報】Bill Gates氏も登壇したMicrosoft社の発表会

ゲームに対する理念とか、ゲーム機のテクノロジへの思い入れなどは一切語らず、シェアとビジネス戦略中心の講演になっています。あくまでゲームは自社の事業の一つ以上のものではないという感じです。PCでの、ビジョンを語るアップルに対するビジネスまい進のマイクロソフトというイメージがなんとなく重なります。

次はSCEの久多良木氏

「PS3は買ったその日から進化する」と久多良木氏

こっちはこれでもかというくらい熱い思い入れとビジョンを語ってくれてます。

久多良木さんの場合は、テクノロジ信奉者という感じがします。とにかく最先端の技術ですごい性能のハードを作るから、市場は俺についてこいといった感じ。最新技術を詰め込んだPS3に対してソフトウエアがついてこないという「重厚長大主義」という声に対しては、

みんなは「重厚長大主義」という言葉によって,新技術に挑戦しないエクスキューズ(言い訳)にしてはいないだろうか。

と言っているあたりがそれを象徴している感じがします。最新の技術と独創的なビジョンで新しい市場を作るから、ユーザーもサードパーティも俺についてこいというあたりは、いかにもソニーらしいスタンスだなあと感じます。ただ、久多良木氏は

PSを始めたときから僕らはいつも,顧客と一緒にいたという思いがある

と言ってます。PSP問題を経験した人には突っ込みどころたくさんでしょうが・・。最近のソニーはそれが独善になって空振りする傾向があるので、そろそろ盛り返してきて欲しいところです。

最後に任天堂の岩田社長。

【インタビュー】「失ったものを取り戻したい」 任天堂岩田社長が「Wii」に込めた想い

次世代機はインターフェースにこだわったらしいのですが、久多良木さんと対照的に最先端技術への思い入れみたいなものは特に感じません。

任天堂は,どうやったらゲームを楽しんでくれるユーザーを増やせるか,この命題に数年間,挑み続けています

こういったことを言い続けているあたりに、ユーザーがどのように遊んだら一番楽しいかということに対して一番力点をおいていると感じます。正直、ゲームに対する思想という点では、やはり任天堂が一番深く考えている気がします。携帯ゲーム機ではその思想がことごとく当たっているわけですが、据え置き型ではどうでしょうか。

ソニーもマイクロソフトもハードをゲーム機にとどまらず家庭のプラットホームコンピュータみたいな位置づけにしたいみたいですが、原点を忘れたらすべてがパアです。ユーザーからすれば、どんな思惑でメーカーがゲーム機を作ったとしても、最終的にゲームが面白くなけりゃ買わないですよね。

なんにしても、ゲーム機が売れれば、それに使う半導体も売れます。各社の思想を体現するほど力を入れたゲーム機なので、どこでもいいから、世界的な大ヒットを飛ばして半導体業界に好景気をもたらして欲しいもんです。

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2006年5月14日 (日)

skeeter rabbit急逝

boogalooというスタイルのダンスを生み出したelectric boogaloosの一人、skeeter rabbitが死亡したというニュースをjiroさんのブログで知りました。

20060514skeeter

skeeterはhiphop創成期のころから活躍していたダンサーで、ストリートダンスの偉大な先達の一人です。そして、現在でもトップダンサーとして人気があり、信奉者も数多く居ます。skeeter rabbitというステップはヒップホップのポピュラーなステップの一つです。まだ40歳になるかならないかくらいの年齢のはずなのですが・・。

死亡の理由は謎です。boogalooのサイトにも追悼の言葉以外書いていません。

ギャングスタ出身なので、トラブルに巻き込まれてしまったのでしょうか。

どちらにしろ、早すぎる死は残念です。冥福を祈ります。

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2006年5月13日 (土)

半導体の確率統計1:代表的な分布1

どの事象がどの確率で出現するかを表した分布を確率分布と言いますが、確率分布には大まかに離散型確率分布連続型確率分布があります。

1)離散型確率分布

これは、例えば赤玉と白玉を混ぜた壷からある個数の玉を取り出したとき、その中に赤玉が二つ入っている確率はどのくらい?といった、事象が1,2,3・・・といった離散的な値をとるときの確率分布です。このとき、最もとる確率の高い値を期待値と呼びます。ある母集団からn個の試料を抜き取り、その中の事象の出現数がx1,x2・・・xkを取る確率をP1,P2,・・・Pkとすると、

期待値E(x)=∑xiPi=nP

と表されます。分布のばらつき具合を示す分散V(x)はV(x)=E[((x-E(x)^2]、標準偏差D(x)はD(x)=√V(x)と定義します。

離散分布で代表的な分布を2つ紹介します。

1-1)二項分布

2種類の可能な結果を生じる実験があるとして、一方の結果をAとしてその確率p、他方をBとしてその確率を1-pとします。これを同じ条件で独立にn回繰り返すことをします(ベルヌーイ試行)。Aがx回、Bがn-x回生じるとすると、その確率は次のような式に従います。

Bionominal_1 

この式に従う分布を二項分布(bionominal distribution)と呼び、Bi(n.p)で表します。その期待値、分散はそれぞれ、

E(x)=np、V(x)=np(1-p)となります。

これは、例えば上記の赤と白の玉が混ざった壷からn個の玉をとりだしてそのうち赤玉がx個出る確率とか、コインをn枚投げて、そのうち表がx個でる確率などが、この分布に従います。

1-2)ポアソン分布

二項分布のうち、nが大きくpが小さい場合、例えば、工場での事故件数や、製品のキズの数など、大量の試料の中でまれにしか起こらないような事象は、ポアソン分布(Poisson distribution)に従います。期待値としてmを持つ母集団の中で、x個の事象が存在する確率P(x)は、ポアソン分布に従って次のように表せます。

Poisson

ポアソン分布における期待値と分散は、E(x)=V(x)=mで、期待値と分散は等しくなります。

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2006年5月12日 (金)

確率統計の勧め

社会に出て一番役に立つ数学の分野ってなーに?

と、聞かれたら、僕は間違いなく確率統計と答えます。

世の中の森羅万象は決定論的なものなど殆どなく、確率で物事は動いています。

まず、工学系の仕事に携われば、必ず品質ばらつきや、歩留まりといったことを考えなくてはなりません。どんな技術者でも確率統計のセンスは必須です。

文系の仕事でも、金融関係は確率論の世界です。株も確率、保険商品も確率で、金融工学は高等な確率論を使用します。

こんな専門的な仕事でなくとも、確率の基礎知識があるだけで変な理屈に騙されなくて済むことは多々あります。

かように、広い分野で役に立つ確率統計ですが、学校教育では不思議なくらい軽んじられてます。高校数学では最後に付け足しのように薄っぺらい教科書でやるだけですし、大学でも専門で学ばない限り、教養でさらっとやっておしまいです。

このような勉強しかしてない人間が会社に入って技術者始めると、僕みたいにワイブル分布と対数正規分布の違いも分からず故障率のグラフを描くようなアフォ技術者になっちゃったりするわけです。

もっと学校での確率統計を重視してくれ!文部科学省!

不勉強を政府のせいにするこんな僕でも、昨今の微細化によるばらつき問題の前に、さすがにこれではまずいと思い、遅まきながら勉強をしました。そこで、使ってみて結構よかった教科書を3冊上げてみます。

1)基礎統計学I 統計学入門 東京大学出版会

統計学入門

統計学の基礎を初歩から学ぶには最適だと思います。とても丁寧に説明されていて、途中に挿入されるトピックが実に興味深いです。これは読んでて面白かった。技術者だけでなく、確率に興味のあるすべての人にお薦め。

2)新版 品質管理のための統計的方法入門 鉄健司 著 日科技連

新版 品質管理のための統計的方法入門  

これは、統計を品質管理に使うための手法の入門編。検定と推定、管理図などの初歩が説明されています。使用している数学自体はそんなに難しくないのですが、これらの手法を実際に応用しようとすると結構歯ごたえがあります。何回も練習しないと身につかないです。練習問題があるので、グッド。

3)はじめてのデバイス評価技術 二川清 著 工業調査会

はじめてのデバイス評価技術

これは、半導体デバイスの評価技術全般を扱った本なのですが、信頼性解析に必須のワイブルプロットの作り方が丁寧に書かれています。半導体デバイスの技術者は最初にこれを読んで、ワイブルプロットとは何かを理解して仕事をするのをお薦めします。

と、いうわけで、次回から、僕の復習もかねて、半導体に必要な確率統計の知識をさらっとレビューしたいと思います。

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2006年5月10日 (水)

どうして僕は技術者を志したか

毎日新聞には、理系白書なる長寿企画がある。ご存知の方も多いと思うけど、理科系の人材はこの国ではどのように処遇されているか、これからも技術立国するにはどうしたらいいか、というあたりを取材した企画なんだけど、この企画を読んでると、技術者ってのはつくづく不遇なのね・・っていう気分になってくる。

僭越ながら、現役で技術者やってる私めに言わせるとですね、何が問題って、やっぱ給料が低いの一言に尽きますわよ。学生時代には「金よりやりがい!」と熱く語って技術の世界に入ってくるわけですよ。でも、文系の友達と会うと、給料がおいらのほぼ2倍だったりするのですよ。別においらの倍の時間働いているわけじゃないですからね。やっぱりなんか萎えますよ。それに、優秀な技術者が必ずしも出世するとは限らないんですね。優秀な技術者は往々にして我が強いので、技術での功績とマネジメントは別、みたいなノリで、ナニナニプロフェッショナルとか、技監とかいうポストに祭り上げられて、実質は出世コースから外されちゃったりするんですね。

 なーんだ、技術を一生懸命頑張っても結局この程度の待遇かい、と思うと、学生がメーカーを敬遠するのも分からなくもないです。

 そして、世間でよく誤解されるのは、技術系ってのは好きな事やってるんだから、少々安月給で待遇悪くても我慢できるんでしょ?っていうことです。おいおい、理系人間をそんな浮世離れした変人と誤解しないでください!仕事は趣味と違うんですから!あくまで組織のための”仕事”ですからね!それは営業の人に向かって「あんた営業が好きなんだから給料安くても我慢しろ!」っていうのと同じくらいの理不尽さです。

じゃ、そんな不遇な技術者に自分はなんでなったのか。

しかも、高校時代も得意教科は国語と英語で、数学が一番の苦手科目だったんです。そもそもなぜ理系?という感じですが。

それは一言でいうと、科学と技術への憧れがあったからです。

子供のころから雑誌のニュートンなんかが好きで、宇宙の向こう側とか、素粒子の極限とか、だれも行ったことのない未知の世界について考えるのが好きでした。そして、ロボットとか、コンピュータとか、未来を拓くような最先端技術への憧れをもったのでした。

院生時代はこれまた研究がさっぱり面白くなく、(俺って研究向いてない)と思ったのですが、将来の職業を考える時期に来たとき、やっぱり、ウォークマンや、マイクロプロセッサのように人の価値観や生活スタイルを変えてしまうような画期的なモノ作り、技術開発への憧れを捨てきれなかったんですね。

なので、会社を選ぶときも、業績より、最先端技術を開発できるかどうかを基準にしました。

そこで思ったのは、若者の理系離れを食い止めるのは、1にも2にも科学や技術への憧れを喚起させることじゃないかなーと思います。僕が小さい頃は、鉄腕アトムもあったし、どらえもんとか21エモンとか、とかく漫画で科学技術への憧れを植えつけられました。今はマンガもアニメも科学賞賛一辺倒ではないですからね・・。

そして、安月給を身に沁みて味わっている今、何をモチベーションにして技術者やっているかというと・・・・・一言でいうとですね。

自分の夢には2つあって、ひとつはやっぱり日本の半導体業界の活性化に結びつくくらい事業を成功させてみたい。ホリエモンだかヒルズだかしんないですけど、金融が一番手っ取り早く儲かるねーというのは事実なのですが、結局、経済の足腰を作っているのは実業です。あえて実業にこだわって成功例を作ってみたい。

もうひとつは、脳型コンピュータの実現ですね。これはかなり壮大な夢ですけど、実現すれば、IT革命よりさらに大きな社会変化を引き起こすと思います。現在のノイマン型アーキテクチャと脳型アーキテクチャでは、演算の仕組みがまったくちがうので、半導体デバイスのレベルから考え直さないと本当の意味での脳型コンピュータはできないと思うんですよね。これはどちらかというと、自分が一線の研究者としてやりたいというより、実用化につなぐ役目をやってみたいという感じですかね。

どちらも身に余る夢といえばそのとおりなんですけど、こんくらいのこと考えてなければ、技術者なんてやってられませんて!

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2006年5月 7日 (日)

GW終了

ついにゴールデンウイークも終了を迎えました。

この長い連休、皆様に置かれてはいかがお過ごしだったでしょうか。

私は、この連休は、旅行にもいかず、ひたすらの日々でした。

Beer

いろいろな人と連日酒を飲み、次の日は2日酔いで、迎え酒をする・・・。

いやー、実に健康に悪い。

この間、わが肝臓様は馬車ウマのように働いていたはずですが、肝臓って胃と違ってほとんど自覚症状がないんですよね。自覚症状が出たときには肝硬変など取り返しのつかない状況になっているそうで・・。

でも、現代社会に生息する社会人の多くは肝臓を酷使しながら日々の生活を乗り切っているわけでして、なんとか自分の肝臓の状態を自覚したいもんです。

うーん、ここは酒飲みセンサーを半導体で作ってみるってのはどうでしょね?肝臓に埋め込んでおけば、肝臓のアルコール処理の状態をセンスして、負荷が一定以上になったら、なんか警告信号を出すとか。二十歳になったら肝臓にこのセンサを埋め込んで、それで酒を飲むのが合法になるとか。国民のアルコール消費量が激減することウケアイ。

・・・・・・なんか、サイボーグみたいになって酒が味気なくなりそうですね。娯楽まで管理されたくないってか。

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うざいパン

だいぶ半導体とは関係ない記事ですけど、横浜の商店でこんなの見つけました。

Uzaipan

文字からしてうざそうな雰囲気が出てますね。

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2006年5月 3日 (水)

BODY&SOUL!

 GW恒例のBODY&SOUL@ベルファーレに今年も行ってまいりました。

これは、昔ニューヨークのVinylで行われていた伝説のハウスイベントで、世界最高のハウスDJといわれてるFrancois K.、Danny Krivit、Joaquin“Joe”Claussellの3人がプレイする年一回のお祭りです。

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午後7時から行ったので、最初はさすがにすいてたのですが、午後9時前には込み合って盛り上がってまいりました。

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手前がDanny Krivit、奥がJoaquin“Joe”Claussell。彼らのプレイはただの曲つなぎの次元を超えて、ターンテーブルを楽器のように扱います。そのパフォーマンスがとてもかっこよく、彼らのライブを見に来ているような感じでもあります。

僕はこのイベントでハウスの楽しさを教えてもらったようなものです。

個人的にはJoaquin“Joe”Claussellのプレイがかっこよくて好き。

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BODY&SOUL名物の風船。

ゲイ同士の熱々シーンもB&S名物(笑

終電前の時間に場を熱く盛り上げるのはにくい演出です。帰れなくなるじゃん(笑

あー、今年も楽しかった。

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2006年5月 1日 (月)

「技術空洞 VAIO開発現場で見たソニーの凋落」を読みました。

 ソニー本ってのは腐るほど出ていて、ビジネス書にソニーの名前をつけさえすれば、そこそこ売れるという浅はかなマーケティングがあるんだろうなーなんて日ごろ思っているのですが、ついつい釣られて買ってしまう浅はかな僕です(泣

暴露本ってのは、往々にして著者は評論家になってしまって自分の事を棚上げにして論を展開しがちなのですが、それでも元内部者だけに問題点はそれなりに的確についていたりします。

著者の宮崎琢磨氏は文系入社でVAIOの企画部門に配属されているのですが、技術者と共同で開発に携わっていたようで、主に技術者の視点からソニー批判を繰り広げています。

で、この宮崎琢磨氏の著書と、竹中真司氏の「ソニー本社六階」を読み比べると、技術者から見た視点と、事務方から見た視点を対比できて面白いです。

宮崎氏は、VAIOの開発現場に1998年に配属になり、それから2~3年は技術者が自分の理想を世の中に問うような開発、いわゆるソニー的「愉快ナル工場」を楽しめたといいます。出井氏が数値評価で現場を縛り始めたときにそれが崩壊し、VAIOの商品力、さらにはソニーの技術力自体が劣化し始めたと書いてます。まあ、大体が出井氏批判ですね。出井さんの技術軽視は有名で、知り合いのソニーの現場の技術者も殆どアンチ出井でした。この出井さんの現場軽視の姿勢が優秀な技術者の流出を招き、ソニーの現場崩壊を招いたと書いています。

それに対する竹中氏はバブル直前での経営企画室配属で、宮崎氏いわくの「本社様」です。こっちは、配属時にはすでに大賀典雄氏による恐怖政治で官僚化が進行していたようです。大賀氏独断によるコロンビアピクチャーズ買収、テレビ用ガラス工場立ち上げ等効果不明な投資で巨額の資金を流出させてしまい、巨額の負債を負ってしまい、ソニーの力を劣化させたと書いています。こっちは殆ど大賀氏批判です。独裁政治で幹部連中がみなイエスマンになってしまったことが人材流出と経営方針の誤りを招いたと。

つまりは、宮崎氏の入社の約10年前にはすでに事務方からソニーの崩壊は始まっていた、ということになりますかね。ソニーのカリスマ経営は伝統みたいなものなので、問題の根は深いかもしれませんねー。しかし、ソニーでも、事務方と技術系では、現場の雰囲気が全然ちがうもんなんですね。技術系は、いわゆるイメージされる「ソニー」な感じなのに対して、事務方は役所的というか、政治的というか、言ってみれば、他の会社と変わらない雰囲気ですね。それをことさら嘆いて本にできるのは、やっぱソニーの持つブランド力なのかもしれません。それと、宮崎氏はソニーの技術力は壊滅状態だという感じで書いていますが、少なくとも半導体に関しては、人と金を惜しげもなくぶち込んだおかげで、技術力は急上昇している印象があります。6、7年前まではソニーの半導体事業というとしょぼいの一言だったのですが、今では著名な学会での発表件数も増え、業界での存在感は増す一方です。まあ、最終製品の部署と半導体の部署では、これまたまったく雰囲気が違うんでしょうけどね。

ただ、読んでて重要なポイントだなーと思ったのは、カンパニー式の統治システムや、EVAなどの数値評価を取り入れた途端、現場の活力が無くなったくだりです。技術者の創造力というのは、自由な精神性に多分に裏打ちされているので、厳密な管理システムのもとでは十分発揮しにくいものなのです。経営側からは、管理システムをきっちり整備すると社内が把握しやすくなると考えるのでしょうが、革新的な技術は、いわば親の目を盗んだいたずらみたいなことから始まることも多いので、社内に「遊び」や「隙間」を残しておかないと、長期的な技術力が低下しやすいんですね。

翻ってみると、今の日本の半導体メーカーは長い低迷のおかげで、会社に「遊び」を残す余裕がなくなってきてます。ベテラン社員から聞くと、昔は「隠れプロジェクト」などと称して内緒で自分の興味のある技術を試作して研究した時代もあったみたいですが、研究所も目先の事業につながる研究優先だし、事業部でも余技の開発をやる余裕がありません。これが技術の種の枯渇を生み、日本から革新的な半導体製品が生まれない理由の一つにもなっていると思われます。たしかに、現在は試作一つにも数千万から億円単位の金がかかるので、「遊び」の仕事をしにくい面があるのですが、経営の数字には表れない「現場の活力」や「現場の自由度」を経営者はもっと大切にして欲しいなと思います。

技術空洞 Lost Technical Capabilities Book 技術空洞 Lost Technical Capabilities

著者:宮崎 琢磨
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ソニー本社六階 Book ソニー本社六階

著者:竹内 慎司
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